ジェフ:おはよう。もう目が覚めて準備万端かな?大丈夫?今朝の議題は6ハウス、自己改善の問題だ。まずは、6ハウスと乙女座が「移行」のアーキタイプだと知っておかねばならない。1ハウスから5ハウス、そして7ハウスから12ハウスの間にある、ハウス間やハウスの星座間の移行的アーキタイプだ。そして、いつもと同じように質問があったら、遠慮なくその都度聞いてほしい。
12ハウスは、6ハウスの対極であり、それ自体、移行的アーキタイプだ。では論理的な質問だが、何に関する移行だろう?つまり、1ハウスや牡羊座から5ハウス(獅子座)までは、主観的な発達に焦点が当てられるということだ。
言い換えれば、1ハウスは本能と関連し、我々はその本能に導かれて、個々に不可欠な個性を見出す経験をする。この探究の旅は5ハウスまで続き、そこで認識された個性は、極めて自己中心的かつ主観的なやり方で、創造的に具現化される。5ハウスは、その一例として、誇大妄想もしくは孔雀症候群(自慢したがり屋)と関連付けられる。そこで、ありがたいことに6ハウス/乙女座の出番だ。
6ハウス/乙女座らしい素晴らしい道教の諺がある。「斧は、最も高い木に落ちる」だ。斧は最も高い木に落ちる。つまり、自分を誇大妄想や獅子座的なやり方で投影し、物事は自分中心に動くと思い、さらに自分があたかも宇宙の中心のように振る舞うと、斧が高い木に落ちてくる、ということだ。どうしてそうなると思う?
6ハウスはそれ自体が、陰の性質で女性性のハウスであることを覚えておいてほしい。乙女座は柔軟宮であり、地の星座だ。これは自己分析につながる。この自己分析を通して、どこを改善すべきか、また完全を目指す過程で何を完璧にし、調整し、排除すべきかの精神的な気付きがある。ここでは自我、そして自己像が分析される。そしてそれを完璧にする努力がなされる。それが今度は内的批判を生じる。内的批判だ。つまり、我々は皆、自分のクズのような部分には気付いているだろう。そしてもちろん、これも投影されたものである。つまり、典型的な陰らしいやり方で、我々は批判を受け入れるのだ。
そして、一番高い木に落ちる斧についてだが、我々の人生では時として、自尊心が傷付けられる体験を必要とする。適切なメッセージを受け取るために適切な環境を引き寄せるという状況を単に作り出すのだ。乙女座が水星に支配されていることを覚えておいてほしい。ということで、我々は適切なタイミングで適切なメッセージを受け取る。だが生まれつき備わった内向的なアーキタイプにより、大半は既に、自分の改善点と短所に気付いているのだ。つまり、既に気付いているので、批判を受けると、自然と批判的もしくは防御的な反応をしてしまう。その批判を聞く必要はないと思ってしまう。
では、それが原因で負のスパイラルに陥ったらどうなるだろう。12ハウスの極性を通じて、犠牲者意識、または迫害もしくは陰謀に陥れられた気持ちになるかもしれない。そして物事は不公平だと感じ、必要なメッセージに対して聞く耳を持たなくなる。そして今度は現状を正当化するために、6ハウスの典型的な言い訳としてその事実を利用するのだ。
6ハウスのアーキタイプは陰、地、そして柔軟宮だ。ひとつには、柔軟宮のアーキタイプ、つまり変化し続ける必要性があり、一方で、地の性質として現実を定義し構造化することを望む、そう、安定性だ。そして、陰のアーキタイプとして、中心、つまり、自分の核に戻るエネルギーが生まれつき備わっている。
では成長はどこで起きるのか。ここでの基本的な象徴的意味が分かるだろうか。成長は、内省を通して、また自己分析による自己調整によって起きる。さらに、調整だけでなく具体的な「戦略」──6ハウスは水星に支配されている──が必要だと内側で気付く努力をすることで起きる。そして、その戦略を、取り組み中の自己改善のために人生で実行する必要があると気付かねばならない。分かるだろうか。
要点はこうなる。我々には、地の性質において、柔軟宮の陰の葛藤がある。このアーキタイプが原因となる特有の落とし穴の一つは、先延ばしや怠け癖を引き起こすことだ。分かっていながらやるべきことをやらず、精神的理由や説明や言い訳を作り出すのだ。こうして12ハウスの極性は、自己攻撃の感覚を作り出している。そして疑問が湧く。なぜ?なぜこんなことになるのかと。
我々の大半が気付いていない乙女座と6ハウスの基本的な問題の一つは、それらが罪悪感と結び付いているということだ。しかも、知的化や合理化できない罪悪感だ。その理由を自覚できないのだ。そしてこの根強い罪悪感のせいで(6ハウスのアーキタイプの一つが浄化だということに留意)浄化を必要とすると必ず、何か他のことが意味されるのだ。そうではないだろうか?
不純、不道徳は、それ自体がこの罪悪感と結び付いている。つまり12ハウスによって6ハウスは償いの必要性を生み出す。償いの行為の一つは、自分のためにやるべきことをやるべきときにしないことだ。そして潜在意識の「この危機的状況が必要だ」という声が聞こえてくるだろう。分かるだろうか?この痛みが必要だ。人生が上手くいっていないという感覚が必要だと。
生徒:それが変化を起こす動機ですか?ことが重大になってやっと、方向転換し変化を起こすということですか?
ジェフ:いや、重要なのはそれがなぜ起きているかを理解することだ。要するに、我々は危機状態に自らを陥らせるとき──例えば、自分たちのためにすべきことをせず、人生が不調に感じるような状況を引き寄せるとき──閉塞感や抑制感や罠にはめられたような気持ちになり、すると必ず、6ハウスの分析に力を入れるようになる。そしてその分析を通じて、そもそも危機を引き起こしている力学(ダイナミクス)が何なのかに気付く。つまり危機の役目──6ハウスの役目──は、自覚(水星の支配)をもたらす分析という手段だ。なぜなら、力学上、分析によって危機が白日にさらされ、理解できるようになるからだ。
したがって、これを基本的な占星術に当てはめると、6ハウス(生得の負であり陰)にあるのがどのサイン(星座)であるにせよ、そこから発生する負の連想そのものが、調整され改善されるべき力学であり個性であり志向である。なぜなら出生図の6ハウスに対する極性が関わるので、12ハウスにあるサインは我々に無自覚の理想を示す。つまり、完全性だ。分かるだろうか?私たちは常にこの両極を行ったり来たりしている。
例として、6ハウスに牡羊座がある場合、生まれつき備わっていて、浄化や調整や改善が必要となる負の部分は何だと思う?それは、粗野で自分本位な行動ではないだろうか?いわんとすることが分かるだろうか?
牡羊座は自己中心的性質を発揮する。そして、12ハウス・天秤座に暗示されている解釈は何だろう?平等だ。誰が優れているのか、誰が劣っているのか、誰が主導しているのか、誰が従っているのかではなく、平等だ:個人的な平等、社会的な平等だ。取るよりも与えるという理想だ。牡羊座の負の適用例は「取る」だよね?俺によこせ!と。それに対して12ハウスの天秤座に暗示される解釈は「まず与え、それから受け取る」だ。
これを仕事や奉仕という6ハウスの基本的な問題に当てはめると、負の牡羊座とは何を意味するだろう?雇用や仕事の問題において何を意味するだろう?牡羊座は、自分だけが特別と思う誰にでもある本能だ。なので、これを6ハウスに関連付けると、本能において何が特別となる?状況が分かるだろうか?負の牡羊座が仕事場にやってくる。私はここだ!分かるか!ここにいる!と。そしてもちろん、投影された批判としての12ハウス・天秤座は、別の声で「で、だから何?」と言うだろう。
要するに、6ハウスの牡羊座は、仕事場で、支配し上司になることを望むのではなく、平等に協力して働く方法を学んでいくということだ。そのため、6ハウス牡羊座により、それが実現されて初めて、そこに暗示されている特別な仕事が受け入れられる。そしてそのような危機、つまり拒絶が、分析を活性化し、ゆくゆくは力学への気付きに繋がり、疑問に対する理由を作り、自己改善と調整に影響を与えることになる。
私が伝えようとしていることが分かるだろうか?ばっちり?朝10時だけど、ばっちり?(笑)コーヒーはどこ?
伝えようとしていることが分かるだろうか。自己分析、不完全への気付き、そして改善の必要性が原因となって、自己疑念の感情が生じるという問題だ。例えば仕事の問題について話し始めたとき、もし個人がこれら負の連鎖や自己不信、または過度な自己分析に陥ったら、「準備ができていない」「職務に求められる能力が整っていない」という感覚につながることがある。そして、言い訳することにより、最大の可能性を最小限で発揮することになる。そこに潜在能力や可能性の領域が残されてしまっているのが分かるだろうか。だが永遠に改善すべき点に焦点を当て続けることは自己疑念を生じさせ、それが今度は、行動しないことを正当化する必要性を生み、その結果、可能性の実現は最小限になる。また別の危機が訪れるのだ!
生徒:どうやったら、がんじがらめにならずにその状況から抜け出せるのでしょうか?
ジェフ:6ハウス(柔軟宮、陰、地のアーキタイプであることを留意)を抜ける秘訣の一つは、本能的なリズムに従うことだ。言い換えれば、完全性への秘訣は、一箇所に座ったまま泣くほど分析するのではなく、行動に移すことにある。そのアーキタイプに順応しなければならないのだ。言い換えれば、周期的または規則的な観点では、振り返り内省することは適正であるが、それと同時に本能に従い行動することも適正である。どちらかが多すぎると、バランスが崩れる。
生徒:6ハウスにステリウムがある一方で、その調整役の12ハウスに何も天体がない場合、他の方法があるということになりますか?
ジェフ:いや。それはその人固有の独自の仕組みを与えることになるだろう。だが他の見方からあなたの質問に答えることもできる。6ハウスにあるサインの支配星の位置(ハウスとサインやアスペクト)は特有の戦略となるのだ。取り組んでいる自己改善を行動を通じて発展させ続け、また達成するために、その戦略は実行されなければならない。それはまた12ハウスにある支配星という点から見ても真実である。なぜなら、12ハウスにある星座には理想が暗示されているので、それを追求するとハウスと星座を通過して支配星につながるのだ。
つまり一方では、首尾一貫して実行、実現するための6ハウスの実用的な戦略があり、他方では、12ハウスの支配星が理想と完全に繋がっている。分かるだろうか?
これらが行動する上での経験領域になる。そして向かい側の性質を合体し統合する。例を挙げるなら、6ハウスの牡羊座に対して、支配星の火星が9ハウス・蟹座にあるとしよう。ここでの特有な戦略はなんだろう?取り組んでいる自己改善が上手くいくための、個人が実現可能な、具体的で実践的な戦略はどんなものだろう?
生徒:聞くこと、学ぶことでしょう。
ジェフ:何を聞き、何を学ぶだろうか?我々は、その人の進化の状態がどうであれ、ひとまず、より高次元についての本を読むことに自己投資することを薦めるのではなかろうか。どのような力学や構造や形式であろうと、違いはない。そしてさらなる高次元の思想に自分自身を晒すと何が起きる?
ここで我々は全ての必要条件を満たしている。もちろん、謙虚さ(6ハウス)の必要条件が備わっている。では自分の自我を高次元の思想に晒したら、何が起きる?分かるだろうか?形至上学的もしくは宗教的背景における個性の意味に、ある程度ちゃんとした見方ができ始めるのではないか?
私は限界を広げている。そして必要な反省の習慣、つまり内省を通して、時々ひと休みし、現状を振り返りもする。それにより、私が読書や学校に通う間に、現状の調整が行われる。そしてこのことは、負(6ハウス)の牡羊座の自我を伴う安定性と関係した感情的構造に影響を与えないだろうか。単に基本的な戦略だ。
またこうも言えないだろうか。6ハウス・牡羊座の象徴として、もう一つの実践的なことは、支配星である火星がある9ハウスとの関連から、行動そのものである牡羊座は、愚かな車に乗りたくなったら(一見馬鹿げているように見える行動でも)、それっ!と、言い訳せずにそうする。つまり、身体の動きに身を任せれば(旅行、9ハウス)、それが内面の処理を促進するのだ。それは肉体的な動きによってのみ可能であり、四六時中椅子に座り続けて死ぬほど分析しようと試みることからではない。それでは単に精神破壊になり自分を見失う。
生徒:つまり、牡羊座なので、行動することが手段になるということですか?他の星座だと手段も異なりますか?
ジェフ:いや。アーキタイプだ。星座によりアーキタイプを示すことができる。例として、同じ6ハウス・牡羊座で、今度は11ハウス・天秤座に火星があるとしよう。6ハウスによって浄化されるべきは牡羊座のアーキタイプのままだが、ここでの特有な戦略とはなんだろう?(支配星の火星の位置が)9ハウス・蟹座から11ハウス・天秤座に変わった。戦略はなんだろう?典型的なケースが分からないだろうか?
その人が本能的(牡羊座)に様々な人々(11ハウス・天秤座)を惹きつけ、突然、一斉にメッセージを受け取り始める(11ハウス)、さあ、何が試練となる?6ハウス・牡羊座の人に対してこう言うだろうか。「そうです、この人たちは単にあなた批難しようとしているのです」と?または「受け取ったメッセージを客観的に聞くようにしなさい」と?また、おそらく、共通の目的を共有する人々の集団や社会的要因と関わるべきだと提案するだろうか。そしてこの平等意識を呼び起こすやり取りから、個性(火星)との関係という意味での天秤座が調整される。分かるだろうか。基本的なことだ。こうやって12ハウス・天秤座を満足させるのだ。
ここまでで、移行的アーキタイプとは、7ハウスまたはその先への移行を意味するということが理解できただろう。移行とは、過剰な自己中心の自己認識、誇大妄想からの調整だ。そして6ハウスと関連した生まれつきの欠陥や劣等感を経験せねばならない。世界に、つまり、7ハウスとそれ以降の世界に、できれば平等に、劣勢な立場でなく、優勢でもなく、平等な姿勢で再入場するために。5ハウスの観点からして、これはピラミッド型のアーキタイプと関係している。そこでは個人は自分自身のピラミッドの頂点に座っており、全てはそこを中心に回っていると期待しているのだ。一方で、6ハウスは逆さピラミッドと呼ばれ、物事があなたの上に座っていて(笑)あなたはそれに仕える身である。これが、6ハウスが仕事と関連する理由だ。
仕事は、当然、自己犠牲を意味する。5ハウスは自分探しの旅をしたがる。人生の舞台に立っているのだ。そして、6ハウスは全体への仕事や献身や奉仕を要求する。6ハウスが12ハウス、社会に元々つながっていることを覚えていてほしい。12ハウスにおける全体への献身と自己中心的で気まぐれな自己犠牲は、分析、調整、謙虚さ、浄化などを必然的に作り出し、逆ピラミッドにつながる。
そして、特定の社会や地域では──つまり、より権威的な政権下やインドのようなカースト制度においては──明らかに仕事の割り当ては固定化されており、また、固定されていることが自分でも分かるだろう。だが、もし、自分に政府レベルの高官になる技能があると感じて、それでもまだ固定化された国家や階級やカーストにどっぷり浸かり、溶接工にならねばならないとしたら?または、もっと自由な世界に所属していて、そこでは自分と関連のある仕事の実現という選択肢が与えられているとしたら?どうなる?
その場合、我々は地のアーキタイプ(2ハウス、6ハウス、10ハウス)に従わねばならない。つまり我々が誕生した特定の社会の習慣、規範、タブー、法律や規制だ。言い換えれば、心理学者になりたいと思い、また自分にその能力があると感じていたとして、この国に生まれたら、この国は何という?「素晴らしいね、でも8年間学校に通って、博士号を取りなさい!」というだろう。要点が分かるだろうか。
エゴは自分が抗えない大きな源または力の勢力に従うのだ。そしてその源への服従は(世界に参加することと)同じ効果につながる。もし服従せず、しかし、心理学者になりたいまま、要求されていることをしなかったら、何が起きるだろう?
自己改善にまつわる問題は常に起きている。言い換えると、6ハウスと2ハウスのカスプがあるサインの支配星は(トランジットによって)いつもチャート上のどこかを通過している。つまり、この二つの天体の現在の位置さえ把握できれば、自己改善というテーマの問題や力学や経験を特定できるのだ。そこでは現状の戦略が効果を発揮するのと同時に、外的批判も生じる可能性があり、またそこで現状の自己批判も影響を受ける。そこでその時点での欠如感を味わうのだ。
では自分自身のチャートについて考えてみてほしい。それらのトランジットを見付け、それが自分の人生にどう関連しているか見てほしい。
生徒:私の場合、6ハウスのカスプが蟹座で、6ハウスは月に支配されており、トランジットの月はすごい速さでチャートを動き回っています。
ジェフ:その情報はあなたに何を示唆しているだろう?
それは、ひっきりなしに追いつこうとする性質があなたにあるということを示している。そして時間が足りないと常に思いながら日々過ごし、追いつこうと常にしているのだ。これが、あなたの感情の安定という意味で何を意味し、何を関連付けると思う?
広い意味での教えはこうではないだろうか:そもそも、安定、安心とはなんだろう?ここで、12ハウスの理想が安定や安心の確立を担うことになる。それは、職場に関連した安定性を見付けようとすることではなく、何かに投影された自分の力の感覚を見付けようとすることでもないだろう。
もちろん、6ハウス自体に何かがトランジット、つまり、ネイタルの6ハウスの支配星(この話題では月)に何かがトランジットすることもあるし、プログレスしたり、されたりする。(注釈1)6ハウスにソーラーリターン(太陽回帰)なども起きる。言い換えれば、こうやって見ていくと、どんなときにも取り組むことができる膨大な情報がある。明らかなのは、自己改善が成長の問題と関連しているから、完璧を追求する旅が実現するということだ。
私にとって29度という象徴は明らかに、とても強烈である。0度や1度と同様に、これらは柔軟宮のアーキタイプの部類に入る。29度の象徴は、頂点に達することと関連している。今世において頂点となる6ハウス29度の星座に関する進化周期全体のことだ。これは、我々が扱ってきたこれ以前の進化的な生涯の全てを意味し、それが今世で最高潮に盛り上がり、変化し始めるということだ。そして頂点であるからこそ、いまだに取り組んでいないこと全てが、今世で再体験されるのだ。
また元々のハウス構造の関係についても話さねばならない。つまり、6ハウス、12ハウス、3ハウスそして9ハウスの柔軟宮のグランドクロスだ。このアーキタイプの基本的な目的は、自己改善に関する自己認識、自己拡張だ。そして3ハウス、双子座の性質のハウスから見ると、また水星が支配する状況だ。こちらの水星(双子座)では、全体的な現実の性質に関する情報を単に収集するのだ。情報、事実、データ収集の必要性、現象的現実に名前をつける必要性だ。
言い換えれば、9ハウスの観点からすると、これは現象的現実だ。これ自体だけでは(ジェフ自身が立っているものを指して)「教卓」とは呼ばれない。(注釈2)人間の知性は、ものに名前を投影する。それは他の名前に関連付けるためであり、これは「演壇」と呼ばれ、また他の名前に関連付け、今度はこれを「床」と呼び、さらに「壁」と呼び、とつながっていく。そうやって知的構造を作り出す:一つの事実が次の事実へとつながるのだ。論理的であるために、そして、安定感を得るために。この中で何人が、現象的な世界で、何にも名前をつけないまま、実存的な空洞(注:あらゆるものを「これがある」「存在している」とは認識できない)に身を置いてただ生涯を過ごすことに幸せを感じることができるだろうか?ほとんどが無理だろうね。
私が言いたいことは、我々は3ハウスで、こういった情報収集の全作業を行う。唯一無二の知的な構造を作り出し、自分の意見の基盤そのものを作る。
そして6ハウスで、水星の働き、分析を行う。何を収集するかの分析だ。別の観点から見た6ハウスの役割の一つは、識別だ:どの事実を採り入れるのだろう、そしてどれを拒絶するのだろう?これらの分類作業と分析を通して、それらをまとめ、仕切りやファイルなどを作っていくのだ。この事実はここに、この事実はここに、とね。そしてそれが既存の知的構造と一致しない場合には、批判し、拒絶する。
水星の側面から見た6ハウスは、分析することで、いかなる知的な議論においても最大の弱点を指摘する、という本能的な能力と関係する。弱点を見付け、自分自身の既存の意見や物の見方を正当化するために、その他の意見を論破するのだ。そして、ネガティブなの状態の9ハウスを通じて、今度はいわゆる「ビリー・グラハム」コンプレックスにつながる(注釈3):他人を自分の意見に洗脳し、説得し、改心させる必要性があるという思いに駆られるのだ。それにより自分が知的で哲学的に安定していると感じるためだ。このことは、その狭いやり方で命令を下す偏狭な哲学者や宗教を生み出さないだろうか?そして水星の声が発せられるのだ。「我々は正しい。あなた方は間違っている」と。
つまり、9ハウス自体は直感のアーキタイプと関連するということだ。いわゆる第六感というものだ。我々全員は宇宙や銀河系とつながっていて、この基本的な事実により、大半の人は大抵、その全てが何を意味するのかについて思慮(9ハウス)したり、予測したり、思いを巡らせる。現象的な視点から全ては何を意味する?3ハウスと6ハウスで、宇宙的な事実をまとめるべく都合の良い知的構造を作り出すのだ。
我々全員には直感があり、つまり真実と呼ばれるもの、9ハウスが象徴するものは、存在する。宇宙が創造されたからには、それを説明してくれる何らかの法則や真実があるはずなのだ。言い換えれば、真実は創り出すことはできず、ただ認識し、悟られるしかないのだ。
3ハウスや6ハウスの私の知的な志向が何であれ、また知的かつ感情的な必要性が何であれ、どんな問いが生まれようと、私の9ハウスの直感はこのように宇宙に向かっている。言い換えれば、宗教について私が不可知論的(注:経験できないことは認識できないため、人間は本質を認識し得ないとする考え方)な視点で考え、私がそれを知性の基盤としている場合でも、私の直感は宇宙に入り込み、不可知論の構造的な真実を(理屈や経験からではなく)直感的に捉えるのだ。要点が分かるだろうか?そしてこれを「真実の一部を拾い上げる」という。
直感は、我々全員にある「どうやって分かるのかは分からないが、何が分かるかはとにかく分かる」という部分である。それは過去世から今世へ持ち越された知恵である。
だがそうならば、次の問いが生まれる。私たちが知っていることは、真実の全てなのか、それとも一部なのか?このことにより-12ハウスの(帰納的な)極性を留意-全ての真実を理解する必要性が出て来る。分かるだろうか?一部ではない。そしてこの柔軟宮ハウスのグランドクロスにより何が起こる?知的で哲学的な論争や議論や意見の相違が引き寄せ始められるのだ。
ではなぜそうなる?自分自身の知的志向の限界を知るためだろうか?そして、私自身の意見が批判、攻撃もしくは限界に晒されることで、周期的に哲学的かつ知的な危機を生むのではないだろうか?これにより分析に力が入らないだろうか?そして分析は、そういった状況を作り出す力学につながらないだろうか?これは調整できないのものだろうか?
6ハウスの観点から見た、我々が身を置いているこの文化における問題は、これが哲学で言うところの演繹論理と関連付けられることだ。つまり、部分から全体を構築しようとするのだ。巷の星占いのカレンダーで見かけると思うが、木を見て森を見ず、である。しかし、12ハウス極性は、哲学的な観点で何を教えようとしているだろう?(帰納的な直感での理解を)演繹論理にどう移行するかを学ぶのだ:まず全体を認識し、それにより、特定の部分が自然な順序で明かされるのだ。
ここで話しているのは、意見と真実の間に存在する固有の対立または不一致だ。9ハウスの視点のアプローチで、もし正義という観点から何かを教えるのなら、「私の主旨が正しいのであって、あなたは正しくない」となる。これは本当に何かを教えていることになるだろうか?それとも教義の植え付けだろうか?ソクラテス的な観点(注釈4)から教えとするならば、これは本当の教え方だろうか?
過去300年から400年以内に西洋社会に生まれたことによる問題は、経験主義に全ての重点が置かれているということだ。分かるだろうか。線形の知性を奨励する科学的事実だ。事実ありきの知性だ。演繹論理に重点が置かれているため、この種の世界の6ハウスの視点から見ると、12ハウスは非合理的であり、合理主義や実用主義や実用的なものとは対照的となる。
誰にとって実用的なのか?それが私の質問だ!何が実用的なのか教えてくれるだって?それは、その人の形式の実用性である。(万人にとって真に実用的であるとは言えない。)私が言おうとしていることが分かるだろうか?
もしあなたが東洋で生まれたなら、東洋は言語構造でさえ、文字、概念全てに抽象的な原理が反映されているが、西洋ではそれは単に一つの言葉だ。そして東洋から見たら、西洋の文化で合理的と呼ばれるものは、非合理的となる。どちらが正しい?間違っている?分かるだろうか?
つまり、我々が提案しようとしているのは我々全員に3ハウス、6ハウス、9ハウス、12ハウスがあるということだ。この壮大なグランドクロスにある星座、その支配星、及び形成されるアスペクトは、各個人がどうやってこれらアーキタイプを経験するのかを、そしてその内面の葛藤を具体的に示してくれる。柔軟宮のアーキタイプの究極の課題は、合成して作ることである。それが真実全体への視野及び知識へとつながるからだ。
そして、より個人というレベルから見ると、これは我々自身の真実も意味する。要は、この柔軟宮のアーキタイプ(グランドクロスが暗示)は、我々一人ひとりに、自分自身の真実と本質的な法則を識別し、実現することを教えてくれようとしているのだ。他人の真実を生きるのではなく、自分自身の真実を認識しなさいと。
したがって、これらの位置にあるサインや天体は、どんな内的志向や外側の世界での実現の経験を通じて、こうした悟りを強化するのか、ということを示している。例えば、3ハウス・山羊座、9ハウス・蟹座、6ハウス・牡羊座、12ハウス・天秤座の人物がいたとして、その人物の真実にたどり着くために、どんな内的経験/外的状況をもたらすだろう?直感に身を任せよう。6ハウスの分析にばかり夢中にならないようにね(笑)
生徒:探求する行動です。
ジェフ:何を探求する行動だろう?この組み合わせは、通常、例えば、個人個人が、自分自身の何かを試してみたい、また築き上げたい、と思うようになる影響を生み出しがちだ。
その何かとは、例えば、自分自身の権威(山羊座)や自分の声(牡羊座)といったものだ。
その権威や声は、自分自身のイメージ(蟹座)や安心感(9ハウス・蟹座)が実現化されるところである蟹座や、天秤座や12ハウスを通して、築き上げられる。
こういった、個人の真実の探究は、外部環境において、どう反映されるだろうか?
生徒:つまり、おっしゃられているのは悟りの意味で、個人は、自分の真実を、相対性理論(12ハウス・天秤座)によって投影し「これはあなたと共有しようとしている私のバージョンの真実だ。(注釈5)そしてこれはあなたのバージョンの真実だ。お互いの個性(6ハウス・牡羊座)を尊重しよう」ということですね。
ジェフ:また3ハウスの山羊座についてだが、何がこの個人の本質的な知的志向だろう?どんな種類の情報が収集されるのか。そしてそれから何が本質的に引き出されるだろうか?
生徒:ビジネスです。
ジェフ:ちょっと具体的だね。より一般的にはこう言えないだろうか。広く皆について説明できるように話さなければならないので。一般的に、少なくとも個人は伝統や確立された権威に向かって行くとは言えなくはないだろうか?
そうなると問題は、潜在的な危機があるとしたら、どんな権威や伝統だろうか。そして、独自の個性をいくつかの既存の伝統に一致させると、そこに独自の権威の基礎ができる。なぜなら、個性(牡羊座)の実現を通じて、自分以外の何かにつながる(山羊座)からだ。そしてそれは内面の安定性(9ハウス・蟹座)を構成する要素となり、それが今度は信念の要素を構成し、それが伝統そのものにより知的に正当化されるのだ。
生徒:私のチャートはそれと正反対です。
ジェフ:それは何を提示しようとしている?明らかに、その組み合わせだったら、あなたは自分の声を確立することを学ぶべきだろう。伝統から脱却し、その安心感を個人的発見に再構築することで可能になる。人々(6ハウスの天秤座)に対して正直に、いつも心にあるがまま表現する方法を学ぶべきだ。
これは今の自分の仕事に適用できるだろうか?あなたにとって十分実用的(6ハウス)だろうか?(笑い)
要点は非常にシンプルだ。この柔軟宮のアーキタイプがあるから、人生に主要な周期があり、その周期を通して、哲学的もしくは知的な危機、もしくは何か霊的な危機と他の信仰的な危機を経験することになるだろう。志向している思想が具体化(地の性質)すると生産的ではなくなる。非生産的だ。そしてそれがこの危機、つまり新しい情報の探究(3ハウス/9ハウス/12ハウス)を発動し、それが既存の知的/哲学的基盤に追加され、それにより全体的真実の探求における成長が可能となる。12ハウスから見たときの要点は、真実全体の知識を妨げる全ての知的及び哲学的制限を解除するということだ。
これら危機は主要な周期で起きる。そしてトランジット、プログレス、サターンリターン(土星回帰)、ソーラーリターン(太陽回帰)で知ることができる。我々は皆、それを経験するのだ。
そして自己改善の戦略のためには、6ハウスの支配星を見付け、12ハウスの支配星を見付け、それらのアスペクトを特定し、そこでの特定の経験と活動に焦点を当てるのだ。首尾一貫した行動が提案される。それにより、経験しなければならないどんな特定な危機の緊張も最小化できる。
生徒:もし6ハウスに天体があったらどうでしょう?
ジェフ:もちろん、6ハウスに天体があるなら、全ての心理的相関または機能は、生涯を通じて、アーキタイプに作用する。そのアーキタイプがもともと関連または支配する星座、またそのハウスの位置関係は、実際に6ハウスに持ち込まれ、生涯を通じて行動に移される。生涯を通じてだ。これは今回の人生の意図の一つだろう。
生徒:では、6ハウスに、12ハウスの支配星があったらどうなりますか?12ハウスは無自覚なので、それは発揮させることで役立つと思います。6ハウスの天体がそれを具体化しませんか?
ジェフ:そうだね、だが問題もある。6ハウスはそもそもアセンダントにインコンジャンクトしており、12ハウスにそもそもオポジションとなっている。インコンジャンクトは、つまりヨッド、理想だ。その理想は12ハウスの天体に暗示され、6ハウスに位置しており、とても純粋かつ理想化されて見える──個人の自己分析と欠如への集中、また準備ができていない気持ちという点においてね。言おうとしていることが伝わっているだろうか。ほぼ達成不可能に見え、そしてその結果、それを発展させないための必要な言い訳や理由を生み出す。
それが実際、最も一般的な適用例だ。その天体の可能性を最大限に引き出すために首尾一貫した行動、つまり一歩ずつ着実に進むことができるような人は滅多にいない。
ブライアンが彼の講演で言っていたように、何か他のものに完璧さの意味を求めようとすると、それは投影された現象になる。それは別の人にかもしれないし、家族の一員にかもしれないし、仕事の構造にかもしれない。自分の内部には発展させないのだ。これはとても頻繁に見られる問題だ。
だが、では「なぜその人は、進化という観点から、そのような天体配置で生まれることを選んだのか?」という問いが浮かぶだろう。
それでもなお、その天体の位置関係は、実現される必要があるものに着手するにふさわしい行動を提案してくる。必要なのはただ着実に一歩一歩進むことだ。
中国の道教から生まれた古い哲学がある。それによってこの原則を説明する方法の一つは、比喩や物語によるものだ。彼らの物語の一つで、6ハウスに当てはまるのが、ムカデの物語だ。ここで、ムカデが千本の足を持っていると想像してほしい。足が動き続ける限り問題ないが、46本目の足がどのように機能するか考えた途端、緊張症になる。したがって、ここでの小さな教訓(9ハウス)は「着実な次の一歩」だ。これが完璧を実現する方法だ。怠け過ぎでもなく、分析し過ぎでもなく。柔軟宮には行動が必要なのだ。
他に質問は?オーケー、今朝は来てくれてありがとう!
注釈1:「プログレスしたり、されたり」は、プログレスの月がネイタルチャートの6ハウスカスプや月に関わってくることを言っているものと推測される。
注釈2:「これ自体は「教卓」とは呼ばれない。」について、難解なので解説する。
哲学的・抽象的(9ハウス・射手座・木星)な考え方をすると、そもそもはあらゆる物事には名前は付いておらず、区別もない。例えばどんなものも素粒子やエネルギーの集まりであり、「教卓は存在していない、どこを見ても粒子やエネルギーがあるばかりだ」と言うことができる。
しかし私たちは素粒子やエネルギーが都合よく集まっているところに名前を付け、物事を区別して認識する(3ハウス・双子座・水星)ことで、本来初めから「教卓」「演壇」「床」「壁」として存在していたわけではないいろいろな物や出来事があると感じることができるようになる。そこから「床の上に台があり、壁に囲われている」など物と物の関係や出来事のつながりを考えることができ、論理的に関連付けて物事を理解することができる安心が得られるようになる。
違う言い方をすると、何も区別されず全く分かれていないために何も理解できない「ワンネス(統合状態)」と、区別によって理解ができるが「ワンネスからは分離した状態」についてジェフは話している。
注釈3: ビリー・グラハム(英語: Billy Graham、KBE、1918年11月7日 – 2018年2月21日)は、現代アメリカの最も著名なキリスト教(南部バプテスト連盟)の福音伝道師、牧師、神学校教師、福音派キリスト者。アメリカの伝道師と呼ばれる。(Wikipediaより)
注釈4: 古代ギリシャの哲学者ソクラテス(紀元前470頃-紀元前399年頃)は、不可知論や無知の知の考え方に基づき、「人間には根源的・究極的なものを知ることはできないことを理解し、知り得ることと知り得ないことの境界を見極めながら、節度を持ちながら最大限に善く生きることに努める」という姿勢を取った。(Wikipediaより)
ジェフは「私は正しい。あなたは正しくない」という姿勢は、ソクラテスが伝えた節度や誠実さを欠いていると述べている。
注釈5: 相対性理論は物理学者アルベルト・アインシュタインが提唱した光速や時空に関する理論である。「人物 Aと人物Bの動き方の違いによってそれぞれ時間の経ち方やものの見え方が変わってくる」ことを導き出すことができ、物理学の理論ではあるが、ここでは「感じ方は相対的で人によってそれぞれ違ってくる」という人生訓のような意味で述べている。
訳:ベッソンちづる(Chizuru Besson)
校正:相原あすか
監訳:佐々木りさ
原文:The 6th house and Issues in Self Improvement that Allows the Soul to Grow | School of Evolutionary Astrology – Jeffrey Wolf Green