逆行シリーズ#1 『逆行天体の進化における意味』

このシリーズはSchool of Evolutionary Astrologyのサイト上など一般に公開されている英語記事を翻訳し、ご紹介するものです。
引用・転載は、出典を明記の上、お願いいたします。

ジェフ:今日は、魂の進化の観点から、逆行する惑星が何を意味するかについて話そう。

まず覚えておいてほしいのは、逆行しているように見える天体現象は、見かけの運動だということだ。地球から見ると、相対的に逆行しているように見えるというだけだ。太陽から見たら、これは実際には起こっていない。しかし、見かけの運動とはいえ、地球には適用できる。私たちが地球上で観測しているものだからだ。人間の意識や地球上の出来事には、逆行に特有の力学が見受けられる。

逆行の主なアーキタイプには、他にはない逆行独自と言える特別なものがある。まず理解すべきことは、逆行する惑星は魂の進化を加速するということだ。逆行は、「この惑星のアーキタイプはこのように行動するべきだ」という現状維持・社会の期待から、撤退、拒否、反発することを意味しており、それが個性化のプロセスを加速させる。逆行の行動や心理、また逆行が反映する状況をどう捉えるか、それを自分で定義付けるのが、アーキタイプとしての逆行の機能だ。

さらに、逆行のアーキタイプは非静止的である。「ああ、やり切った。これでお終いだ」というところに達することが滅多にないのだ。逆行は、成長を諦めたくなるような限界にチャレンジし続ける必要性、成長し続ける必要性を強める。それによって、そのときに応じて内外の状況を再定義する、つまり(勢いよく前進するのではなく一旦戻って考え直すような)逆行という必要性が、繰り返しずっと生み出されていくのだ。

繰り返すが、逆行は個性化のプロセスを加速、強調する。その結果、逆行の性質にとって個性的であることは、とても大切になってくる。しかしそれによって、「人と違っている」、また現状に対して「違和感がある」という感覚が引き出されもする。

例えば、金星が逆行している場合、個人的または社会的な独自の価値を定義付ける必要があるアーキタイプを示している。自分の個性を反映するように、金星の性質を自分自身に関連付けることができるようにするのだ。金星逆行の人は、現状維持の期待を拒み、逆らい、そこから身を引くような人間関係に向かうようになる。社会的な現状維持の観点から、人間関係において期待されている役割を演じることを拒むのだ。したがって、この人物は自分が人とは違っている感覚を覚えるだろう。

このアーキタイプを、アメリカ中部の中流階級の高校に通うティーンエイジャーに当てはめてみよう。そこには様々な社会的通念を背景に持った若者の仲間集団があり、その様々な社会的通念が人間関係のありようや、男女がお互いにどのように接するべきかを定めている。金星逆行のティーンエイジャーは、このような集団の規範や通念に違和感を覚えるだろう。その結果、自分は社会的に孤独だと感じる可能性はないだろうか?既存の仲間集団から残酷な非難を受けたりはしないだろうか?

ここにはまさに、感情的かつ心理的な埋め合わせの問題が存在する。逆行アーキタイプを持つ人には、社会的・個人的な安心を感じるために、逆行の働きと関連する領域で、皆から普通だと思ってもらえるように振る舞うことで、埋め合わせをするケースがよく見られる。だがそれは、魂が望む進化や自分自身の自然の法則を裏切ることになってしまう。

いわゆる、逆行パーソナリティーという性格タイプがある。これは一般に、四つ以上の惑星が逆行している出生パターンと結びついている。このタイプの人は決まって、心理的に何か埋め合わせをして(普通に見えるように振る舞って)いない限り、とても内向的、つまり逆行的である。彼らは極めて繊細であり、シャイで、臆病で、社会的に不安を感じている。さて、この埋め合わせの問題を覚えておいてほしい。中にはゲーム感覚で巧みに自分を偽り、周囲に合わせられる者もいるのだ。

生徒:これはどこからがゲーム(偽りの自分の捏造)になって、どこからがバランスが取れた行動になるのでしょうか?魂の転生を信じるなら、進化の歴史から見ても、惑星が順行のときもあれば逆行のときもありました。それでも私たちは、それを乗り越えてある程度その先まで進み、内外両面の機能を持つ逆行アーキタイプのバランスを取っているのだと思います。

ジェフ:あなたが言うバランスとは、魂が自らの本質的な個性を反映し、状況に応じた人生を創造して、その設計図を描くということだろう。それができるなら自然なバランスとなるだろう。だができなければ、他の何をしてもそれはバランスが取れない埋め合わせの行為となってしまう。これはとてもギリギリの線だ。

埋め合わせ行為とは、守りに入るということだ。つまり、個人がこういった逆行アーキタイプを定義して本質を反映させる勇気を示せば、その勇気は、あらゆる現状への違和感や社会的不安に耐えうる安心感を生み出す。逆行で進化したタイプの態度は、まるで車のバンパーに貼ってある「嫌なら出て行け」と書かれたステッカーのようだ。

生徒:私が重要だと思うのは、これがとても個性化を図る働きであり、もしこの機能が最優先され、集団に強制されない個人の視点で行動するのなら、その人はとてもユニークなやり方で成長できるということです。

ジェフ:その通りだ。そしてそれが、個性の法則や本質を反映する上で重要なポイントだ。だがこのことは、同じように疎外されている魂たちと絆を作り、そういった疎外された価値観を採用するという意味ではない。これも別の可能性としてなくはないが、これではコンセンサス(考えの一致)に関連した埋め合わせが違う形で起きているに過ぎない。ここでいう埋め合わせのコンセンサスとは、疎外された人々の集まりの一員になるということだ。

生徒:私の息子は生後19ヶ月で、冥王星を含む五つの惑星が逆行しています。私はこの集団に関する問題が理解できませんでした。

ジェフ:私が言ったのは、逆行の人たちの中には、(自分の個性や本質を反映する勇気を出せず、)疎外された魂、つまり「自分は現状とはズレている」と感じている魂同士の関係を選び、疎外された仲間集団のコンセンサスを得ようとする人もいるということだ。しかし、本当の意味で集団での行動が上手くいくのは、「自分を反映させるように自分を定義付ける」という態度を最優先にしている集団にいる場合だ。

生徒:私は自分の家族全員がそんな様子だと感じています。

ジェフ:まさにそれだ。このように個性を反映する環境が整えば、内向性は存在しなくなる。臆病で恥ずかしがり屋という内向性は、「ありのままの自分になってはいけない」という環境のメッセージ(暗黙の了解や同調圧力)を持つコンセンサスの場だけに存在する。子供がありのままでいることを認められる親は、子供にとって、心の閉ざされた金庫を開けることができる、鍵や暗証番号のような存在になるだろう。

生徒:この個性化の役割についてですが、土星が特に重要になると思います。なぜなら、土星はもちろん社会的な集団のことであり、それを乗り越えられなかったら、その人は個性化ができなくなるからです。

ジェフ:そうだね。それは難しい。土星の逆行は珍しい象徴ではない。金星の逆行が最も珍しく、542日に一度の周期で逆行する(注釈1)。これは長い期間だ。ほぼ1年3ヶ月ごとだ。金星逆行の人が最も人数的には少ない。人数が最も多いのは冥王星だ。毎年、1年の半分は逆行しているからね。

生徒:例えば、まさに今、蠍座と射手座と山羊座にたくさんの惑星が集中して通過していますが、その反対側(に太陽がある時期)に生まれる人たちは皆、これらの惑星が逆行することになるのでしょう(注釈2)。

ジェフ:そうだね。大変なことだが、我々は、魂の状態を見極めるという基本的な問題、つまり土星逆行に、常に立ち返らねばならない。魂が既に個性化段階に進化していたら、土星の逆行は問題にはならない(注釈3)。個性化段階にある人は人口の僅か20%にすぎない。土星逆行の人のうち70%はコンセンサス段階にあり、そこに問題が存在する可能性がある。埋め合わせの問題が最も多く見受けられる状況だ。だからこそ、魂の進化段階を観察することが大切なのだ。これはいくら強調してもしすぎることはない。

生徒:私の金星は逆行しているのですが、ずっと仲間外れにされていると感じていました。10代の頃も大人になってからも、社会的な場面において、自分がクラスの一員であると思えたことはありません。いつも独りぼっちで過ごさなければなりませんでした。先生がおっしゃるように、自分の価値観を見つけようとする個性的な成長が大切であることは理解できます。しかし、逆行があると、自分の本当の価値を見つけるにはとても時間がかかるように思えます。

ジェフ:繰り返すが、逆行は、動かず停滞するということではない。玉ねぎの皮を剥いて芯にたどり着くのに似ている。実際、どれだけ早くできるだろうか。目に涙が溢れてくるときには玉ねぎを放り出したくもなるだろう。だが、それもまた自分が進化のどの段階にいるのかによって変わってくる。私の金星は逆行しており、1ハウス・蠍座にある。私はどんな集団に対しても、自分が上手く参加できるかどうかなんて気にしていない。たとえ占星術の集団であってもね。私は牡羊座という一人の集団であり、とても幸せだ。

生徒:出生図の惑星は平均していくつぐらい逆行していますか?一つか二つですか?逆行の惑星が全くないのは珍しいことでしょうか?

ジェフ:いや、珍しくはない。私の子供たちは二人とも、ノードを含めて逆行の惑星はない。

生徒:私が読んだ本には三つが普通だと書いてありました。

ジェフ:私自身のカウンセリングでの経験から言うと、平均は二つか三つだろうね。

ではこの部屋でランダムにサンプルを採ってみよう。逆行の中でも最も珍しい金星逆行は何人いるだろうか。(部屋には約25人の生徒がいる)

四人の手が挙がったね。これは珍しいな。だが、このような集団ではむしろ普通といえるかな?なぜなら、こういう占星術の集団は「社会のコンセンサスの一部ではない」からだよ。

生徒:水瓶座の金星逆行はどうですか?

ジェフ:私に言えるのは、個人的・社会的に自分独自の価値観を定義する必要があるアーキタイプだということだ。自分がどんな人間関係を必要とするのか、何を受け入れ、何を受け入れないのか、相手がどうあるべきか、どうあるべきでないのかを、自分で定義すること。そして、それを表現する勇気を持つことだ。もし、自分が表現したものが、社会的環境において良しとされる人間関係と同じには見えなくても、それはそれでいいのだ。社会の現状維持の期待に対して反抗するというシンプルな必要性、つまり水瓶座のアーキタイプそのものだ。

逆行について、次の段階であるカルマの観点から考えよう。多くの過去世で友情とより親密な関係とを混同し、大切な友人を恋人やパートナーにしようと躍起になっていたことによって、カルマが発生しているかもしれない。その結果、様々な問題が発生してきたケースだ。さて、この場合の逆行は何を意味しているだろうか。

この逆行のアーキタイプ的な意図は、学び直し、やり直し、繰り返し、考え直すということにも当てはまる。進化とカルマの観点から見ると、過去世で学ぶべきことを学び切れていなかったために、過去世を象徴し反映している力学、状況、人々、出来事を、逆行によって再体験することになる。

生徒:逆行によって、その人物は過去世の感情やエネルギーを多く味わうことになると思いますか?

ジェフ:意識の中に湧き起こるイメージについて話しているのかな?

生徒:はい。

ジェフ:逆行する惑星は、それ自体が、意識と無意識、特に個性化した無意識との境界線をなくそうとする。実際、逆行アーキタイプは個性化された無意識の中にある天王星のアーキタイプにアクセスしようとする(注釈4)。したがって、もちろん過去世に由来するイメージが湧くこともあるし、実際に過去世の追体験をすることもある。

生徒:冥王星逆行の人についてですが、彼らが、今まであった中で最も親密な関わりを持つ人たちだと先生はおっしゃっていましたよね。

ジェフ:いや。それは冥王星の本に書かれていないよ。 書いたのは私だから、間違いないはずだ。

生徒:8ハウスの冥王星についてそのような発言をされたと思っていました。

ジェフ:そうだ、それは8ハウスの冥王星についてであって、冥王星逆行の一般的な話ではないよ。

生徒:それらの人々は、どうやって引き寄せ合って出会うのですか?

ジェフ:そういった選択やカルマの要求は、現世の観点から見ると、過去世で築かれるものだ。それは運命や宿命の範疇に入る。一般に、我々の人生の20%は運命であり、80%は自由な選択だ。進化やカルマにおいて、個人との特定の関係を繰り返し追体験する必要性が発生したとする。そこで過去に何かが上手くいかなかった、やり遂げられなかった、あるいは何らかの達成すべき条件がある場合、そういった進化やカルマの要求は「運命」と結びついてくるのだ。こういった背景があり、運命はその時点でのパーソナリティーを超えたレベルのショーを演出する。実際、個人の意識が及ばないところで、魂は人々を再会に導くのだ。

生徒:それは、過去世で実際に一緒に過ごしていた魂のつながりではなく、繰り返される必要のある何かのアーキタイプということはありますか?

ジェフ:8ハウスの冥王星の観点から見て、ということかな?そうだね。その「何か」というものは、繰り返される必要のある状況を作り出してきた内なる力学と言えるだろう。特定の人間関係を繰り返す必要性が新しく生じた場合にも、金星や8ハウスの支配星を見てみるといいだろう。なぜなら、それこそが起きていることの本質、つまり力学とは何であったのかを示しているからだ。何がどうして起きていたのか、その「全体図」を理解するために、金星と8ハウスの両方が形成するアスペクトを見てみてほしい。繰り返されてきた力学の解決策をその中で理解することができれば、魂はそれらを再び繰り返さなくても良くなるわけだ。

生徒:これは、生涯を通じてずっと続く真実である、ということでしょうか?これは来世に持ち越されますか?

ジェフ:現世でどんな選択をするかによって、全く違ってくる。

典型的な例を紹介しよう。我々が知っているある女性は、新しいタイプ、いわゆるオルタナティブな先生になれるような深いビジョンを持っていた。出生時の8ハウスと9ハウスにまたがる逆行の冥王星がある。彼女が描いたビジョンは素晴らしく、壮大なものであったので、一緒に教えるパートナーが必要になった。彼女は過去世でも同じ経験をしており、ビジョンの実現のためのパートナーとなった人がいた。しかしその過去世では、ビジネスパートナーの一人が彼女に対してすっかり嫉妬深くなってしまった。そのパートナーは、「自分が彼女(のような指導者)になりたい」と思ってしまったのだ。このパートナーは、彼女にとって8ハウスで逆行する冥王星が具現化したものだ。

そのため、このパートナーは「あなたのビジョンの実現を手伝いたい」と偽りの動機を伝え、彼女を巧みに操るようになった。過去世でのこのパートナーの動機は、まず彼女のビジョンの実現を手伝い、次に彼女を妨害して、彼女が作り上げたオルタナティブな学校を乗っ取ることだったのだ。

過去世でこの問題が起こり始めたとき、8ハウス冥王星の人物(過去世当時の彼女)は、そのパートナーが本当はどんな人間か、そしてどんな意図や動機があるのかを理解せず、真実を受け入れることを拒んだ。彼女はパートナーがなぜそんなことをしてしまったのか様々な弁解をして、ただただパートナーを許そうとした。

このため、8ハウス冥王星逆行の彼女は、何がどうして起きたのか、本当のところを学び直すために、この力学が繰り返されるカルマと進化の状況を作り出した。こうやって学び直すことは、彼女が同じことを繰り返さないためにも、そして進化のためにも、もちろん必要なことだ。彼女が最終的にパートナーに面と向かって言いたいことを言えるようになるには、現世でこの経験をする必要があったのだ。

そうやって彼女が現世でビジョンを実現していくにつれ、彼女を手伝いたいという人が集まり始めた。彼女の周囲の人たちは皆、このビジネスパートナーとは関わってはいけないと彼女に忠告していた。もちろん、このビジネスパートナーは過去世のパートナーと同一人物であった。

周囲の人たちの忠告も虚しく、彼女はそのパートナーと関わることをやめなかった。それは運命づけられていた。それで彼女自らこのパートナーと仕事をする選択をしたのだ。それでも、パートナーが誠実でないなどの理由により、二人が敵対する出来事が起きていった。今回は、彼女はパートナーの弁解をせず、澄み切ったクリアな状態で全てを見ることにした。そしてそれが、カルマ的にも進化的にもこの人間関係を繰り返さなければならなかったことへの解決策となったのだ。

8ハウス冥王星の彼女がここで学んだことは、冥王星が9ハウスにも重なっていることと関連していて、自分の直感を信じ、この特定な相手をはっきりと見るということだった。

生徒:この冥王星の逆行が2ハウスだったら、8ハウスの冥王星の逆行と比べて何が異なるのでしょうか?

ジェフ:8ハウスにとって、問題と力学、意識的に選択するということは、「他者と団結し、パートナーシップを結び、結婚する」ということと同義になる。これは2ハウスのものとは正反対だ。

通常、8ハウスは操作と関連する。そして、8ハウスに冥王星がある人たちは「操作なんてしていません」と激しく否定するだろう。8ハウス冥王星の人々に最もよく見られるパターンは、必要性に応じて人間関係を形成するが、その必要性が満たされると、その人間関係は用済みになってしまう。つまり、利用と操作である。だが人間関係をスタートした時点で、自分が相手と関わる用件や期間がどのくらいかを相手に伝え、「その用件や期間が終われば私はいなくなります」と隠し立てなく述べられていれば話は別だ。それができれば、その段階の様々なカルマが解消されるようになる。

生徒:逆行には、より運命的な性質があると思われますか?逆行すればするほど運命的な人生になるのでしょうか?

ジェフ:そうだ。それはあり得る。追体験と繰り返しの問題にさらされているときには特にそうだね。

私の場合で言うと、私の火星と金星はバルサミックの状態にある(注釈5)。これは人間関係のサイクルの頂点だ。そして繰り返しになるが、私の金星は1ハウス・蠍座で逆行しており、同じく逆行している冥王星と土星にスクエアを形成している。また、8ハウス・双子座にある天王星とインコンジャンクトしている。さて、私は今のような仕事の中で、過去世からの多くの人間関係の集大成をどのように迎えていると思う?

生徒:他者の胸の内を想像して自分のこととして感じるような、思いやりや共感の付き合いを通じてでしょうか?

ジェフ:いや、違うよ。非人格的、つまりいい人でいないことで、他の人と親密に関わらなくてもいいようにするのだ。8ハウス・双子座で逆行の天王星にインコンジャンクトしている逆行の金星、これが私の非人格的なところを示すアスペクトだ。そして、これは私の仕事やキャリアを背景にして起きるだろう。逆行の金星から逆行の土星へのスクエアだ。これは回転ドアのように、最も手っ取り早い方法になる。確かに、いつもそんなふうに感じているよ。

また、逆行に関しては集団的な問題があることも理解しなければならない。(トランジットの)水星が逆行すると、我々全員が、やり直し、再定義、考え直しという水星の方針に取り組まねばならなくなる。

これまでに、一時期に音信不通だった知り合いと、急に連絡を再開した経験がある人は、この中に何人いるだろうか。何人が、これを水星逆行のときに経験したかな?水星逆行中の再会・再開はよくある現象だ。では、何がやり直されているだろう。どんな目的で、何が再構築されているだろうか?

これは水星逆行の典型的な例で、水星的なやり方で物事をまとめ上げ、実現するための戦略を立てたということだ。水星が逆行すると、急に物事への確信が持てなくなり、全体を考え直さなければならなくなる。

それでは、水星逆行中に大きな決断を下そうとしたらどうなるだろう。通常は、水星が順行に戻った後に、逆行中の決断の結果が明らかになる。

だから、水星が逆行中は大きな決断をせず、順行になるのを待ってほしい。そうすれば、論理的な決断を下すための最後の重要な情報に気付けるようになる。水星は1年間に3回、約3週間逆行する。

生徒:水星が逆行を開始した時点の度数まで戻るのを待った方が良いでしょうか?

ジェフ:そうだね。それはとても良い考えだ。

生徒:水星逆行の人は、より洞察が深まるから、自然とあらゆる角度から物事を見ることになりますよね。

ジェフ:実は、出生時に水星が逆行していた人は、トランジットの水星が逆行すると、特有の明晰さになりやすい。彼らは、他の皆が苦労している間、自分の暮らしの営みを落ち着いて大いに楽しむことができる。

生徒:それはプログレスの水星逆行の人にも当てはまりますか?

ジェフ:そうだね。だが出生時の逆行と比べたらそれほど強くはない。ところで、こういったトランジットの水星逆行の問題は、現在、核兵器条約に疑問を持つ政治家たちに見受けられないだろうか。考え直しとやり直しだ。例えば、パット・ロバートソンは、キューバにミサイルが突然戻ったとおかしな主張をしているが(注釈6)、大統領選挙に立候補している政治家の中には、発言の一部を撤回しなければならない人もいる。

生徒:彼は権威ある人ですよ!

ジェフ:まあ、トランジット水星逆行にはこういった集団的な意味合いもあるということだよ。

生徒:停止状態(逆行と順行の切り替わりの状態)についてはどうですか?

ジェフ:停止状態は非常に興味深い象徴で、このタイミングを経て、すぐにその影響が発現する。停止状態では集中・凝縮されているのだ。

ある生徒が気付いたことだが、トランジット冥王星が逆行から順行に変わる停止のタイミングで大きな出来事が発生していた。しかし、停止の順行の時点ではトランジット冥王星は彼の出生時の惑星とはアスペクトを形成していなかった(注釈7)。それが何を意味するのかと彼は質問した。

冥王星が逆行すると、魂から発せられた妊娠のようなプロセスが動き出し、魂は自分の現実の一部を再定義し始める。そして、冥王星が順行になる停止のタイミングまで、その妊娠が反映する出来事を内外に引き起こすことに集中する。つまり、逆行の問題が再考、再定義、やり直しを行い、温め育てようとしていたものを停止(順行への転換)によって現実に取り入れることができるのだ。

生徒:ということは、冥王星が逆行から順行に切り替わった直後のタイミングに生まれた場合、その魂は進化的なものになりますね。生まれるまでは逆行の最中で、生まれたら順行で進むわけですから。

ジェフ:そうだね。出生の冥王星が逆行が終わった直後の停止だと分かったら、今世はその妊娠のようなプロセスのすぐ後の人生ということだろう。つまり、この魂には逆行していた(やり直しや再定義の)過去世が何度もあった。自然の進化のサイクルからすると、とても久しぶりに、突然、冥王星逆行の期間が明けた人生がやってきたということだ。この魂は、出生からトランジットやプログレスを経て、極めて本能的に自分自身を表現・体現していくのだ。その人の表現の仕方がどんなものであれ、魂はどうすればいいかを知っているだろう。

また、順行の惑星にアスペクトを形成する逆行の惑星がある場合、「オブリーク(間接的な)逆行」と呼ばれる。オブリーク逆行の月もある。例えば、天王星が逆行して月にスクエアを形成している場合だ。オブリーク逆行の月とは実際にはどのようなものか、分かるだろうか。

生徒:安定化と内在化です。(注:物事を自分の内面に取り込んで安定させ、“ものにする”というニュアンス)

ジェフ:安心を得るためにも内在化はとても大事なことだ。逆行の全体的な意図は、個性化するために内省し、自分のものにすることだ。

したがって、先ほどのオブリーク逆行の月に関して言うと、その個人が自分自身を育てる方法を学び、安心の状態を作り出すと決めたことを意味する。それは、この人物が全ての外部依存から解放され自由になること、つまり天王星について学んでいることを示している。また、両親の現実と子供の現実の間に矛盾があるとも考えられる。この月は逆行する惑星とアスペクトを形成しているからだ。

一人の人の出生図で、アスペクトを形成する惑星が全て逆行していることもあり得るだろう。同じことが太陽にも当てはまる。もし、オブリーク逆行の太陽がある場合、その魂の目的が全体的に意味することや、その目的をいかに創造的に実現するのかを、一生を通じて繰り返し再定義していくということを意味する。この過程を通じて、その魂は自分の経験をどう解釈し、それにどう意味を与えていくのだろうか。

例えば、射手座に太陽を持つ人が、何か大きなトラウマとなる出来事と遭遇したとする。その人が自分自身を統合し、自分の人生に目的を与える方法は、射手座ならではのものとなる。それは、天秤座が自分自身を統合するやり方とは異なっている。もし私が大きな困難を乗り越えて、射手座の太陽を介して統合している場合、そのトラウマを哲学にしようとする傾向が見られるだろう。私はそのトラウマを、私の従来の信念パターンに統合し、それを基盤としてトラウマを哲学的に理解するだろう。このやり方は、牡牛座や天秤座や蟹座に太陽を持つ人とは違ったものになるはずだ。

生徒:もし、逆行する惑星が別の逆行する惑星とアスペクトを形成している場合はどうなりますか?それは逆行の影響を無効にしますか、それとも強めますか?

ジェフ:強めるよ。

生徒:オブリーク逆行の月のことですが、月が減速してゆっくりになっているときは、速く動くときの月と比べると相対的に逆行なので、これもある種の逆行と考えることはできますか?

ジェフ:いや、それは逆行とは対応してはいない。オブリーク逆行の月は、速く動く月よりもはるかに、我々を感情的にする傾向にある。月の平均的な動きは1日あたり12.5度だ。 1日で15度という速さで移動することもあれば、遅いときには1日に10度ということもある。

生徒:逆行する惑星がプログレスで順行になるとき、どのように影響しますか?

ジェフ:いい質問だね。

これまでに個性を反映するべく温め育て、考え直し、やり直し、再定義してきたものが、その時点で安定するようになる傾向がある。物事のまとめに入る段階であり、様々な疑問を反映した、より確かな基盤を確立する傾向もある。だが、やはり生まれつき備わった衝動は常に逆行している。それは常に、その新しい構造すら改良しようとしている。「再、反、改」など「re」で始まるいろいろな言葉を考えてみてほしい。再経験する(relive)、反逆する(rebel)、再考する(rethink)、改良する(refine)、再定義する(redefine)などだ。

生徒:再生する。

ジェフ:出生時の逆行ではなくても、プログレスで逆行すると、逆行アーキタイプが作用するようになる。それが出生の順行を刺激し、この人物は逆行の作用について落ち着かない感覚になるだろう。

生徒:金星は年に何日逆行しますか?

ジェフ:542日ごとに、2〜3週間逆行する(注釈1)。これは、人間関係を不安定にする大きな周期だ。 つまり、地球上の多くの人々が、自分自身との関係も含め、人間関係をやり直し、考え直し、反省することになる。

それでは次に、それぞれの惑星の逆行について話すとしよう。


●注釈1
ジェフは「金星は542日ごとに2〜3週間逆行する」と述べているが、「2〜3週間」は誤り。順行の期間は約542日、逆行は約40日(約6週間)ほど続く。順行も逆行も日数は多少前後する。

●注釈2
太陽系の惑星のうち、地球よりも外側を公転する火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星は、ホロスコープで太陽と反対側(オポジションではなく大まかな反対側)に位置するときには逆行となる。

●注釈3
ジェフは著書『魂の設計図』(原題は『Structure of the Soul』)や『冥王星:魂の進化成長の旅路』(原題は『Pluto: The Evolutionary Journey of the Soul, Volume 1』)の中で、未進化段階、コンセンサス段階、個性化段階、スピリチュアル段階の順に魂が進化することを述べている。

●注釈4
ジェフは『魂の設計図』にて、コンセンサス段階は土星、個性化段階は天王星と結びついていると説明している。

●注釈5
「バルサミック」は、アスペクトを0〜360度で捉えた場合の315〜360度の状態をいう。
例:太陽と月のコンジャンクションである新月の前の、消え入りそうな細い月を「バルサミック・ムーン」(鎮静の月)と呼ぶ。

●注釈6
パット・ロバートソン(Pat Robertson、本名:Marion Gordon Robertson、1930年3月22日 – )は、アメリカ合衆国キリスト教テレビ伝道師であり、キリスト教プロテスタント保守派の指導者の一人。キリスト教徒連合(Christian Coalition)、リージェント大学(Regent University)、CBN(クリスチャン・ブロードキャスティング・ネットワーク)等を設立したことで知られている。(Wikipediaより)

●注釈7
天体の性質や機能が目に見える出来事として起こるときの多くは、天体がアスペクトを形成したタイミングであることに留意。


訳:ベッソンちづる(Chizuru Besson)

校正:相原あすか、Misayo Sugano 

監訳:佐々木りさ

原文:The Evolutionary Meaning Of Retrograde Planets  | School of Evolutionary Astrology – Jeffrey Wolf Green

The School of Evolutionary Astrology
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