逆行天体シリーズ#5『木星逆行』

このシリーズはSchool of Evolutionary Astrologyのサイト上など一般に公開されている英語記事を翻訳し、ご紹介するものです。
引用・転載は、出典を明記の上、お願いいたします。

逆行天体の進化における意味

木星の逆行

木星の逆行は面白い。進化の観点から見ると、(木星逆行を持つ)個人は、個性化された信念体系や哲学的な原理、抽象的あるいは宇宙論的な視野といった、真なるものにたどり着くために、いくつもの過去世において蓄積されてきた「信念体系」——つまり信じているものの全て——を取り除かねばならなくなるからだ。

これにより、魂の性質の直観的な発達が重視されるようになる。これが木星逆行の性質だ。右脳に焦点を当てることになることによって、木星逆行の人の信念体系は、木星に関連した学習戦略において定義付けし直され、生涯にわたって調整されていく傾向にある。魂の個々の現実を反映するためにも、これは高度な調整となるだろう。

水星逆行で見られたように、この再定義が行われないと、新しい抽象的原理を受け入れ、取り込み、自分のものにすることが非常に難しくなる。魂の進化の状態にもよるが、木星逆行の人は、自分の直観や概念のイメージを表現できる論理的な言い回しを思いつくことを非常に難しく感じることがある。こういう人は、自分が知っていることを伝えるコミュニケーションスキルについて劣等感を抱きやすい。

生徒:それは我々のような左脳社会では、よくあることでしょうね。

ジェフ:その通りだ。

その結果、不本意ながら染み付いてしまった劣等感によって、中にはコミュニケーションを取るべきときに、どうしてもそれをしない人もいる。解剖学に関連するが、木星逆行の人の中には甲状腺や下垂体の問題を抱えている人もいる。甲状腺は木星が、そして下垂体は木星と土星が共同支配している。下垂体はマスター腺とも呼ばれ、全身の成長と老化に関連している。また、甲状腺は、栄養の同化(栄養を血や肉にすること)と関連している。これらの人々は、甲状腺に同化の問題が見られることがよくあったり、また生物の成長と崩壊の両方を調整する能力を司る下垂体に、ある程度の困難または混乱が見られたりする。例えば、一般的に、木星逆行の人は、甲状腺に不可欠なヨウ素が不足する傾向があり、体内に取り入れた栄養素を同化する機能が低下している。これにより、非常に痩せたり太ったりする可能性がある(注釈1)。

トランジットの木星が逆行すると、我々全員に、これら全てのプロセスが起こることになる。例えば、トランジットの木星が逆行しながら通過していった場合、出生図でのその位置は、新しい見方ができるようになる、つまり新しい視点が生まれる領域なのだ。木星の役割で影響があるものとしては、現象的な現実(思考や直観によらず五感で認識できる現実)の解釈がある。解釈によって意味が生まれる。だが、解釈とは既存の信念や信仰を混ぜ合わせた主観的な現実に基づくものだ 。主観的な現実とは、自分自身の人生、特に現実そのものをどのように一般化して解釈するかを決定するものなのだ。

例えば、木星逆行があなたの6ハウスで起こったとする。ここが、新たに見直すことになる領域だ。あなたの身体の健康とも関連するだろう。これにより、身体的健康を維持するために何を調整する必要があるのかという意識に焦点が当たり、そこから気付きが生じる。もしそのとき、身体に何らかの問題があったなら、健康を取り戻すためには何を変え、何をすべきなのか自覚することになるだろう。

また、このトランジットはあなたの意識の中に、仕事を含む現実全体の様々な要素にこれまではどのように対応してきたかについて、また、これまでとは異なる捉え方の必要性に基づいた自己改善の戦略について、自己改善のために必要な気付きをもたらすはずだ。それは、6ハウスに関する問題を違った角度から見せてくれるだろう。これは、トランジットの木星逆行がどのハウスやサインで起きていても当てはまる。結果として、再定義により意識が拡大していくのだ。

生徒:木星逆行と水星逆行の主な違いは、直感の重要性ですか?

ジェフ:そうだ。水星は、現実をA、B、C、Dといったように、非常に直線的かつ論理的に順序立てることに特化している。一方で、木星は、現実を説明するために使う具体的な言葉の基礎となる原則に基づいて、抽象的かつ概念的に現実をまとめ上げる方法を表している。

生徒:学習の難しさではどんな違いがありますか?

ジェフ:水星は、情報を収集し、その情報を論理的に結びつけて全体を構築することに関わっている。だからといって、その情報の意味や概念的な基盤、情報の論理的な順序付けにつながった信念を理解しているということではない。水星が意識を向ける情報は、個人的なニーズに特化したものであり、水星逆行中は個人的なニーズとは異なるレベルの情報を排除するのだ。

木星逆行の人は、概念的、抽象的な基盤を理解する必要があり、また理解したいと思っている。信じるものが何であったとしても、信じるということそのものの性質により、信念は現象的な現実がどのように論理的に秩序付けられるのかということにつながる(注釈2)。したがって、信じるということの性質を理解する必要があるのだ。受け取る情報の抽象的、概念的な基盤を理解できない、または受け入れられない場合、木星逆行の人は右脳の接続に断絶が起こる。この断絶によって、入ってくる情報を遮断するようになる。

生徒:では、もし水星と木星の両方が逆行していたら?

ジェフ:両方のプロセスが働くことになる。進化の観点からは、なぜこの魂がこれら両方の逆行するアーキタイプを有しているのかを理解することが重要となる。そのため、魂が「魂の進化の意図のために学ぶ必要があることを、どのように学ぶか」を論理や現実に投影するために、このような魂を理解することは不可欠である。

もし、魂が取り込む情報とそれに対する概念の基盤がきちんと魂自身と整合しているなら、そのような魂はあらゆる面で最高の学習者になるだろう。彼らは膨大な量の情報を素早く取り込んで自らの血肉にし、他の人にはできない速さで前進し続けることができる。それは写真的記憶力の本質だろう。全てが記憶される。忘れることはほとんどないのだ。

逆に、もし魂が影響を受けている情報と魂自身との間に整合性がとれておらず、その情報の概念的な基盤を理解していない場合、まるで何も学習していないように見えることがある。そのような魂は、自分だけの世界で、想像、白昼夢、脈略のない考えに耽って、空、波、月などをただ眺めることで、魂が知る必要がある何かの感覚を誘発しようとすることになるだろう。

生徒:私のアセンダントは射手座で、支配星の木星が逆行しています。それは、全体の再定義をさらに際立たせますか?

ジェフ:そうだ。あなたの支配星は逆行しているからだ。そのことが出生図全体に色をつけ、条件付けていくのだ。出生図の全てはアセンダントが基準となる。(特に個性化段階に達していない場合に)一生を通じて全てのことが「それで良い」もしくは「完璧だ」とは思えないのは、このアセンダントの支配星の逆行が理由である。
9ハウスと1ハウスは、自分独自のアイデンティティーや個性をどのように理解しようとしているかという点において関係がある。そういったことを求めている魂にとって、この宇宙的条件(つまり出生図の設定)は、実存的な真実の探究を、永遠の洗練と再定義とともに広げていくために必要なのである。

このような間接的なレベルの木星逆行では何が起きるだろうか。つまり、逆行する木星がアセンダントの支配星なのだから、あなたの出生図の全てが逆行するということだ。なぜなら、出生図全体はアセンダントを起点とし、アセンダントは進化を生み出すところだからだ。そこで、個人の違いについて、文化の違いについて、信仰やものの捉え方の違いについて、他者を説得して改心させようとする必要性ではなく、健全に尊重するという進化が生まれる。あなた自身の個性を伸ばすことが重視されているからだ。

生徒:1ハウスで木星が逆行し、射手座が3ハウスの場合、これもまた強調されますか?

ジェフ:もちろんだ。 これは通常、左脳から右脳へ、またはその逆への、とてつもないレベルでの切り替えを表している。3ハウスは左脳に、そして射手座と木星は右脳のハウスに関連している。それは全体レベルでは統合されるだろうが、その統合は、最終的な思考プロセスの重点をどこに置くと決めたかに基づいている。知性に直観を導かせるのか、それとも直観に知性を導かせるのか?1ハウスで木星が逆行し、3ハウスのカスプが射手座の場合、その答えは、直感に知性を導かせることであり、その逆ではない。

出生時の木星が逆行しているとき、これらの魂の多くは、情報の取り込み方が原因で、常に何かが不足しているように感じるだろう。悲しいことに、多くの人がこの不足を(他のことで)埋め合わせするようになる。占星術における埋め合わせ行為は、木星、射手座、及び9ハウスと関連している。

したがって、多くの人は他の人と同じようになろうとすることで、不足している感覚の埋め合わせをする。他の皆と同じようになるために、自分が社会に適合していると感覚を得るために、自分が生まれた社会の一般的な信仰やものの捉え方にしがみつこうとすることもある。最新の流行、またそれを取り巻く周囲の人が最高に格好いいと決めたものに迎合しようとすることもある。だがそうなると、そのどれもが自分ではなく、そのような魂は生きるための嘘をつくことになってしまう。

進化占星家として、もしクライアントにこのような状態が見られたら、どうか、埋め合わせの行為が生きるための嘘につながっていると気付くための手助けをしてあげてほしい。そして、彼ら自身の本質に戻ることを助けてあげることだ。それには、他者に依存しない彼ら自身の精査、検証、考察が必要となる。そうしてやっと、他の誰かの現実とは違っていても、自分自身の個性を尊重する人生を切り開くことができる。その結果、彼らは自分自身の真実を生きられるようになるだろう。


  • 注釈1:甲状腺ホルモンは恒温動物の全身の細胞の基礎代謝の維持や促進に関わる。甲状腺ホルモンの分泌が過剰の場合は体重の減少、不足の場合は体重の増加が症状として現れるケースがある。(Wikipediaより)また、消化吸収された栄養を使って筋肉、臓器、血液など体を作ることを「同化」という。
  • 注釈2:私たちは、五感で認識できる現実について「これをしたから、こうなった」のような論理で説明できる秩序や法則があると感じることがあるが、その論理、秩序、法則、それによって説明される現実は、信じるということ・信じたものが先にあって、それを基にして生まれたものであるという意味。

訳:ベッソンちづる(Chizuru Besson)

校正:相原あすか、相良有里

監訳:佐々木りさ

原文:The Evolutionary Meaning Of Retrograde Planets  | School of Evolutionary Astrology – Jeffrey Wolf Green

The School of Evolutionary Astrology
The Evolutionary Meaning Of Retrograde Planets - The School of Evolutionary AstrologyThe Evolutionary Meaning Of Retrograde Planets Jeffrey: Today we will be talking about the nature of retrograde planets, and what they mean from the evolutionar...

<School of Evolutionary Astrology 『逆行する惑星の進化における意味』より木星部分を抜粋翻訳>