逆行天体シリーズ#8『海王星逆行』

逆行する天体の進化における意味

海王星の逆行

NASAより

海王星が関係しているのは、意識の起源と本質そのものに他ならない。つまり、海王星は、我々が神/女神と呼びたいものと関係しているということだ。この意味で、海王星は、(「なぜ生きるのか」といった哲学的な)人生の究極の意味を成すものと関係している。海王星が象徴する意識は、水に非常に似ている。

水そのものには形がない。それでも、水は様々な形の容器に入れることができ、水、つまり意識はその形の機能を帯びるようになる。そして、水・意識は(入り込んだ先の)形が持っている性質や機能によって、こんな形・こんな性質といったことが決まってくる。

つまり、人間の形の中に入った意識がどんな性質であるかは、人間の形と関係してくるのだ。自分が生まれた社会や文化がどんなものであれ、そこからできた世俗的な価値観によって定義付けられた人生というものがあるだろう。出生時に海王星が逆行している場合、そんな世俗的な価値観によって定義された人生の本当の意味とされるものに対して、だんだんと拒否したり反抗したりするようになる意識・魂であるということだ。海王星逆行の根底にある欲求は、人生の究極の意味を発見し、実現することだ。

そして、その究極の意味は、世間的・一時的な価値観ではなく、時間を超越した価値観と結び付いたものである。時間を超越した価値観は、生命そのものの発生要因、万物を具現化させるもの、つまり神の創造物がなぜ存在するのかと関連する。この根底にある欲求によって、海王星逆行の魂は、人生は無意味であるという深い実存的虚無感、存在についての空虚感を、心の中で繰り返しずっと味わっている。スピリチュアルな人生に究極の意味を与えるものに身を捧げること・コミットすること・それを一番に大事にして生きることを魂が決心するまで、この空虚さは続くだろう。魂はそのスピリチュアルな人生において、内なる神/女神を知ることを希求しているのだ。しかし、海王星逆行の魂がそう決意したとしても、発作のように繰り返す実存的な孤独感は、依然として残り続ける。彼らが住む世界の性質や多くの人の暮らし方が、彼らに孤独を感じさせてしまう。

つまり、海王星逆行の魂が神/女神に捧げた人生を送る一方、他の大多数の人々はそれとは違った人生を送るという、この違いこそが、実存的な孤独感を生み出すのだ。

海王星逆行の魂の多くは、人生の意味と関連した世俗的な価値観に対して反抗していく進化のプロセスにおいて、究極の意味・意図・意義に通じる様々な考えを体現していくだろう。そうやって彼らは、様々な欲求を生み出すことができるようになる。そして、それら欲求がどんなものであれ「この欲求が自分をこの究極の意味に結びつけてくれるのだ」と、まず感じることになるだろう。

これは、海王星逆行の魂が想像し得る全て、文字通りどんな欲求でも良いのである。そして、欲求はやがて、海王星逆行の魂によって投影された究極の意味で満たされていくはずだ。もちろん、投影された究極の意味によって既に満たされているその欲求が何であれ、海王星逆行の魂には、その実現は完全に可能と言って差し支えないだろう。そうすると、この実現は当面の間、究極の意味の実感、魂が「魂の究極の意味を見つけた・発見した」と感じる喜びや満足、真の手応えを実感するものになり得る。

しかし、やがてこの感覚は、再び無意味な感覚や実存的虚無感に取って代わられてしまうだろう。これはもちろん、究極の意味の手応えを得られるようなスピリチュアルな人生に身を捧げる、そんな海王星逆行の魂の真の意図によって起きることだ。

したがって、進化の観点から見ると、海王星逆行は、究極の意味を投影した欲求によって引き起こされる幻滅を必然的に繰り返し味わうことになる。この投影された欲求は、海王星逆行が追求するコアとなる意図、つまり神/女神に捧げる人生・真の満足感とつながるものではない。これら繰り返される幻滅感は、究極の目的で満たされた欲求──しかしその究極の意味自体が実現されることのない欲求──を魂が追い求める限り続いていく。

海王星は、集合意識や集合無意識の性質とも関連している。集合意識とは、地球上の人類の全員の内なる感情、思考、そして地球上の出来事にどう反応するかといったことを総合したものを意味する。集合無意識は人類の過去の記憶と関連している。

この中には、他の形の集合意識や集合無意識もある。例えば、ユダヤ人、独自の遺伝子コードを持つジプシー、北米南米のインディアン、エスキモーといった具合に、人種的な集合意識や無意識もある。また、地域的な集合意識や集合無意識もある。例えば、アメリカ南部やドイツのバイエルン地方、そしてエルサレムでは、ユダヤ人とムスリム人の間の地域の歴史や無意識が原因のために、意識内で異なる思潮が激しく交差している。他にも様々な例が挙げられる。

もちろん、我々人間は皆、この集合意識や集合無意識の一部である。海王星が逆行すると、その魂はより一層内面に向かい、集合意識と集合無意識の両方からの影響に敏感になる。そしてこの感度の高まりは、やがて海王星逆行の魂の意識の心理状態に深く影響を与えていくことになる。

人種や民族、宗教や信仰、生まれた社会などに関わらず、海王星は、創造物、あらゆる形態の生命、あらゆる形態の人類の自覚・意識に関係する。そしてこの人類や創造された万物の相関関係こそが、海王星逆行の魂が同調しているものだ。したがって、集合意識と集合無意識が彼らの意識の心理状態に与える影響は、とても深いものになり得るだろう。

天王星がトラウマと関係するのに対し、海王星は誰の人生にも起こり得る、ある種のトラウマの一機能としてのヒステリー、そしてトラウマの性質が原因で起こるヒステリー反応と相互に関連している。これらのトラウマが解消されずにいると、それに伴うヒステリーによって、トラウマ発生後の人生(いくつもの来世を含む)において毎回トラウマを引き起こすような魂を宿して生き続けることになる。これを、ヒステリー性言語障害と呼ぶ。(注釈1

海王星逆行の魂の中には、この解消されていないトラウマとそれに伴うヒステリーが、生まれたときから顕著な人もいる。その場合には、脳内の化学的な成分の組成がアンバランスな状態に陥る。やがて、様々なタイプの心理的影響が、海王星逆行の魂の意識の中に現れてくるようになるのだ。

ヒステリーには、ある特殊な種類の刺激と結び付いた「非合理的な」行動が含まれている。非合理な行動は、その行動を引き起こすきっかけとなった刺激の性質とは全く釣り合わず、まるで思いもよらないようなことがヒステリーの引き金になる。どんな刺激であれ、それは元であるトラウマが起こったときの、元々の反応を誘発するように作用する。

ヒステリーや非合理な行動には、分裂または複数の人格を発症するような分裂行動(多重人格、解離性障害)も含まれる。また、海王星逆行の魂の人が実際の現実と見なす、架空の現実を作り出す行為も含まれる。摂食障害、恐怖症、あらゆる種類の神経症も含まれる。誰かや何かに文句を言って責任転嫁を続ける永遠の被害者・犠牲者の心理状態につながるような、人生そのものへの責任に対する絶対的な無力感も含まれる。魂の内部にある強い感受性により、魂は隠れることを望み、様々なタイプの自閉症につながっていくこともある。

中には、典型的な天才と呼ばれるような能力や才能を持った「賢者」(サヴァン)のような現象を引き起こす場合もある。(注釈2)その場合、海王星逆行の意識の深い部分の抑圧に対する直接的な反応といった形で現れる。その抑圧の度合いが強いほど、周囲の環境や外的な事柄から影響を受ける暮らしから身を引こうとする度合いも強くなる。したがって、この抑圧は、究極の意味を求める魂のコアな意図につながろうとする海王星逆行の欲求に火をつけることになる。

そうやって、この抑圧感は、創造の源へとつながる内なる扉を作り出す。その扉口がやがてこのように開かれると、魂はこれら「賢者」の性質を持つようになる。このような性質は、魂そのものよりもはるかに大きな力から発生しているからだ。この扉口による影響は創造主そのものへとつながっていく。

海王星はまた、睡眠や眠っている間に見る夢とも関係している。人間の形をした意識の中で見る夢の主な意図は、起きている間に取り込んだあらゆる種類のデータと情報を魂から浄化することだ。その結果、この浄化作用によって魂が安定した状態を保つことができる。これが、多くの人の夢が全く意味のない「ジャンクドリーム」と呼ばれる理由だ。(注釈3

我々はまた、非常に象徴的な夢を見ることもある。そういったタイプの夢に出てくる象徴の性質は、「今世の主要な進化の意図と関連した、人生の様々な領域に目をやる必要がある」といったメッセージを魂に送ってくるのだ。これらの意図やそれを象徴する人生の状況が、過去世から今世へと持ち越されていると、その意図や状況を過去世に関する夢として見られることもある。

我々はまた、睡眠状態の間に魂が肉体を離れるような、いわゆる「超意識的な夢」を見ることもできる。すると、魂はどこか高次の、例えばアストラル界のようなところから「夢」を見たりするだろう。そこでは魂は、この地球上には存在しない実体から、何らかの指示や教えを受けたりするようになる。これは、いわゆる「アストラル旅行」とも関連している。 

海王星逆行のときに魂が見る典型的な夢には、様々な方法で今世の人生の性質を逆行、つまり見直すような性質がある。これは何かが未解決のままの過去世の情報を夢で見ることも含まれている。また一部の人には、これは超意識的なタイプの夢を好んで見る傾向として現れてくる。

海王星が出生時に逆行している魂は、睡眠障害と関わってくることがある。なぜなら、彼らの意識内には、継続して人生の情報処理と見直しを行なっている高度のエネルギーが存在するからだ。しかしながら、ある一部の人は、海王星逆行が四六時中眠る必要のある感覚につながることがある。その場合、これは二つの力学に対する典型的な反応だ。一つ目の力学は、最近の過去世がとてもトラウマ的だったり、充実し過ぎていたりしたため、その過去世の性質上、疲れた状態で今世に生まれてきた魂だということだ。したがって、常に眠る必要があるという感覚に陥るのだ。もう一つの力学は、人生そのものが重荷過ぎるので深く関わりたくないとただただ感じているような魂である。それで、できるだけ人生に関わらずに居続けるという反応を示し、それがこの「いつも眠っていたい」という感覚につながっていくのだ。

また、海王星逆行の魂の別のパターンとして、薬物やアルコールへの依存、そして人生に深く関わることをあらゆる方法で回避し、人生から逃避しようとするようなものがある。

注釈1: ジェフが「ヒステリー性言語障害」と呼んだものは、おそらく現代の日本なら「転換性障害」「身体表現性障害」と呼ばれる状態のうち、声が出なくなる症状を述べたものではないかと考えられる。

注釈2: ジェフが「サヴァン」と述べたのがサヴァン症候群のことであるかは不明である。サヴァン症候群は、知的障害や自閉症などの発達障害等のある人が、その障害とは対照的に優れた能力・偉才を示すこと。また、ある特定の分野の記憶力、芸術、計算などに、高い能力を有する人を示す、特定不能の広汎性発達障害に分類される。(Wikipediaより)

注釈3: ジャンクドリームとは、不要な情報を整理するような夢であり、その日の出来事が脈絡なく再現されたり組み合わされたりする、あまり意味を感じさせない夢のこと。


訳:ベッソンちづる(Chizuru Besson)

校正:相原あすか、相良有里、ライカ、ワン太郎

監訳:佐々木りさ

原文:The Evolutionary Meaning Of Retrograde Planets  | School of Evolutionary Astrology – Jeffrey Wolf Green

The School of Evolutionary Astro...
The Evolutionary Meaning Of Retrograde Planets - The School of Evolutionary Astrology The Evolutionary Meaning Of Retrograde Planets Jeffrey: Today we will be talking about the nature of retrograde planets, and what they mean from the evolutionar...

<School of Evolutionary Astrology 『逆行天体の進化における意味』より海王星部分を抜粋翻訳>

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