冥王星の逆行
冥王星の逆行について、純粋に魂の進化という面から考えてみたい。冥王星は年に約6ヶ月ほど逆行している。つまり、人口の半分が出生図に逆行している冥王星を持っていることになる。これは一体どういうことだろうか。
魂の進化段階の話としてこれを捉えると、人口の約半数が自身の進化の段階を反映した形で現状に疑問を投げかけるということになる。これが、各段階の魂たちが集合体として進化をする原動力となる。
そして、冥王星の逆行は集合体としての進化も促すことになるだろう。なぜなら、人口の半数が、現状に対してなんらかの疑問を持っていることになるからだ。これは人間という種の進化の必要性からみても、とても重要なことである。この約半数の疑問視するエネルギーが、停滞や現状維持、結晶化というものを許さないからである。
これらから分かるように、冥王星の逆行は、創造の源への統合的欲求を強調、もしくは進化を加速するような傾向がある。しかし、冥王星の逆行もまた、固有の表現をされるものであるので、個人個人で進化に求められることに取り組む必要がある。そして、冥王星の逆行は極めて深いレベルでの内省を促すとともに、外界の活動から引き篭もる、内省的欲求を持たせるだろう。
しかし、冥王星は我々の一番奥底にある無意識に結び付いているため、その個人の気質における他の要素によっては、これらの欲求が積極的に満たされない可能性もある。外界から引き篭もるという要素が、ただ単純に物思いにふけりたいという欲求として、満たされることなく感じられ続けるようなこともあるだろう。そして、たとえこの内省的な欲求に対して積極的に行動を起こすことがなかったとしても、その個人は自分自身と他者の間に根本的な壁を感じるものである。
また、この逆行の冥王星が統合的欲求を強調、もしくは分離的欲求を排除するプロセスを促進させる傾向により、逆行の冥王星を出生図に持つ人は、順行の冥王星を持つ人と比べて、周期的もしくは永続的な満たされない感覚をより深いレベルで持つ傾向がある。
もちろん、冥王星が逆行していようといまいと、我々の誰もが、程度の差はあれどそのような感覚を持つだろう。満たされない感覚は、魂が持つ複数の欲求が絡み合っていることに起因しているのである。
よって、全ての分離的欲求が使い果たされつくされない限り、この満たされない感覚は、統合的欲求から生まれる心理的現象として存在するのである。満たされない感覚があるからこそ「これでもない、あれでもない」という試行錯誤を進化させる。そのプロセスを体験することで、一体何に究極の満足感を感じるのかということを徐々に理解するのである。
つまり、逆行の冥王星を出生図に持つ人が、順行の冥王星を持つ人に比べて、この満たされない感覚の体験をより深く、恒常的に感じるため、冥王星の逆行が個人レベルにおいて各々独自のパターンで進化のプロセスを加速させ、それが結果的に集合的進化を加速させるのである。
https://schoolofevolutionaryastrology.com/articles/evolutionary-meaning-retrograde-planets/ より冥王星逆行部分を抜粋
訳:佐々木りさ
※本文の内容は下記『冥王星』にも一部含まれております