進化占星術の真髄〜魂の進化段階〜

ここでは、School of Evolutionary Astrologyにおいて“The Essence of Evolutionary Astrology”として紹介されている、進化占星術の核となる哲学・考え方をご紹介いたします。
また、記載文の多くは、『魂の設計図』にも含まれていますので、併せて参照していただければ幸いです。
なお、今回のページで、進化占星術の真髄シリーズは完結です。

〜進化占星術の真髄〜目次
1)進化について
2)魂
3)エゴ
4)魂の進化段階 ←今回はこの記事から
5)未進化段階
6)コンセンサス段階
7)個性化段階
8)スピリチュアル段階

このシリーズはSchool of Evolutionary Astrologyのサイト上など一般に公開されている英語記事を翻訳し、ご紹介するものです。引用・転載は、出典を明記の上、お願いいたします。

4)魂の進化段階

自然の法則に基づいた四つの魂の進化段階についての話をするにあたり、現代占星術における重要な懸念点を挙げておこう。それは、現代の占星術が魂の進化の法則を完全に無視してしまっている、ということである。このことが、現代占星術の一番の問題点であるといっても差し支えないだろう。

 この視点を無視することによって、多くの占星家が最大公約数的、もしくは画一的で方程式的な占星術の理解をし、またそういったアプローチをしてしまっている。それは、占星術にとって損害なだけではなく、占星術によって助けられるべき人々にとって大きな損害であることは間違いない。魂の進化段階を無視したアプローチは、その人の現実、そして、人生そのものを無視してしまっているのである。

 こういった画一的なアプローチをしてしまっていると、「私は金星と冥王星のスクエアを持っています」という人に対して、おしなべて同じ解釈をすることになり、その個人の魂の状況やニーズが考慮に入れられないことになってしまうからだ。

 占星術の根本的な真実をもう一度確認しておこう。占星術は、その人個人の状況を観察して、初めて有効な手段となるのである。そうでなければ、例えば天王星が1920年代に魚座を通過していたとき、世界中どこに行っても同じような社会テーマが存在していたはずである。

 しかし、現実がそうなっていないのは、この個別の状況というものがあるからである。

 例えば、この時代のドイツは、第一次世界大戦後の社会秩序の崩壊が起き、一斤のパンを買うのに手押し車一杯のお金を持っていかなければならないようなインフレに陥った。

 一方、アメリカでは「狂騒の20年代」と呼ばれる経済発展の時代となった。それは、これがアメリカにとっての魚座・天王星の具現化の形だったからである。しかし、その発展はクレジットカードという、不確実なお金の「発明」によって後押しされたものでもあったということも興味深い。

 魂の進化というものは、段階的に分離の欲求を排除していくことで達成される。分離的な欲求が使い果たされた後、最後に残る欲求はただ一つ、「魂が魂の故郷、つまり最初に発生した場所に還る」ということのみなのである。魂の進化には、この自然の法則に基づいた四つの段階があり、また各々の段階に対して三つのフェーズともいえる小区分が存在する。

 もし、このことに疑問を抱くのであれば、社会、国、文化、民族などから天王星人的に離れたスタンスで世の中を観察してみるとよい。孤立した観察者の誰もが、この四つの段階に気付くことができるだろう。その四つの段階とは、

(1)「未進化」段階。全ての魂のおよそ3〜4%がこの段階に属している。この段階には、二つのうち次のどちらかの可能性がある。動物や植物など、他の生命体から人間の意識に進化している魂、あるいは、「カルマ」の原因によって、この状態に逆戻りするように「脱進化」している魂である、ということである。

(2) 「コンセンサス」段階。進化の「コンセンサス」状態と呼べるものに進化した魂で、現時点では地球上の魂のおよそ70パーセントがこの段階にあたる。

(3)「個性化」している進化段階。ここでの個性化とはユング的な意味で使われている。これは全の魂の約20パーセントが相当する。

(4)地球上のすべての魂のおよそ4〜6パーセントで構成される進化の「スピリチュアル」段階。

どんな占星家でも、単に出生図だけを見て、人の魂の進化段階を判断することはできない、ということを理解しておくことは非常に重要だ。判断のためには、占星家はクライアントを観察し、対話する必要がある。

クライアントが占星家のところにカウンセリングを受けに来たという状況で、判断するのに良い方法は、クライアントに、なぜカウンセリングを受けに来たのか、どんな質問があるのか、と単純に尋ねることだろう。一般に、クライアントの質問の内容そのものが、そのクライアントにどのような進化の状態があるかを占星家が知る手がかりとなるからだ。たとえば、あるクライアントが「いつ悟りを開くことができますか」と尋ね、別のクライアントが「いつ新しいBMWを手に入れることができますか」と尋ねる場合、明らかに魂の進化段階を反映した相違が観察されるからだ。 

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5)未進化段階

人間以外の生命、例えば動物や植物といったものから、人間に転生し始めた段階の魂がここにあたる(なお、根本的には植物も動物も人間と同様の感情や神経システムを持ち合わせている)。これらの魂は自我の意識が極めて限られており、意識が自分が存在している瞬間と空間に限定されていることがほとんどである。これらの魂の目を覗き込んでみると、多くの場合、瞳がとても密な感じで、フィルムで覆われているかのように見える。

 これらの魂たちの多くは、とても純粋で、喜びに溢れ、身近な人達に多大な愛をもたらす。現代の医学的用語で例えると、先天性甲状腺機能低下症(クレチン病)、知的障害、精神遅滞、ダウン症候群といった状態に反映されている場合も多い。この段階における魂の進化欲求は、「標準」的になること、つまり、世の主流であるコンセンサス段階のようになることである。

 反対に、動物や植物から進化してきたのではなく、カルマ的要因によって退化してきた魂、つまり強制的にこの段階へと引き戻されたものも存在する。それらの魂は、もう少し進化した段階を既に経験しているために、引き戻されたことへの屈辱と、退化したことによる「制限」をとても大きく感じているものである。そういった魂は怒りに満ち、他人の邪魔をすることもある。

 このような魂が同じような症状を持っている場合もあるが、一番大きな違いは、その瞳を覗き込むと、前者と違って突き刺すような鋭い白い光を感じられることだろう。そして、その光の中に、その魂が持っている激しい怒りを感じることができるのである。

6)コンセンサス段階

占星術的に、この段階は土星に結び付いており、その社会や文化、民族、国などのコンセンサス、つまり主流の合意に従うという欲求を根底に持つ状態の魂である。よって、こういった魂たちの現実との結び付き方、つまり彼らの価値観、人生の意味や目的、モラル、慣習、規範、タブー、善悪の区別といったもの全ては、彼らが生まれ落ちた社会でのコンセンサスの意識の延長である。

 彼らにとっての「現実」は、社会のコンセンサス、つまり主流の人々による外的条件付けの延長であり、その社会が敷いたレールから外れることは中々できない。例えば、科学者が「占星術にはなんの根拠もない」と断言すれば、コンセンサス段階にある人々はその意見に同調するだろう。

 他の進化段階と同様、コンセンサス段階にも考慮すべき三つの区分が存在する。それぞれの区分はその進化段階の中での進化プロセスを表しており、最終的に分離の欲求を使い果たし、「解放」の段階(スピリチュアル第3区分の最後)に至るまで、進み続けるのである。

 なお進化は、その進化段階や進化条件特有の欲求を全て使い果たすことで進んでいく。コンセンサス段階の魂を進化へと推し進める分離的欲求は、「成功」や「出世」、つまり「その魂が属しているコンセンサス社会での成功」に特徴付けられる。これは第1区分から第3区分までに共通しているものである。

コンセンサス段階 第1区分

 コンセンサス段階の第1区分にある魂は、自己の意識が限定的であり、根本的には自分が存在している時空に限定されている。つまり、そういった魂の意識は、自分が存在している社会や国がどういった仕組みで動いているか、ということに対する意識も自らに関連することだけに限定されている。

 しかしまた、こういった人々は価値観やモラル、コンセンサスな宗教観、そういった宗教観や信念によって人生がどのように解釈されるか、また人がそれによってどう裁かれるべきか、ということなどに対しては、驚くほど独善的で自分が正しいと思っている傾向がある。

 彼らには、そういったものから自分を分離させる術がないのである。簡単な例を挙げれば、彼らはハチの巣箱にいる「働きバチ」のような段階である。一般的に、彼らは生まれた社会の中で底辺のような役割を担っていることが多い。

コンセンサス段階 第2区分

 第1区分を経て魂が進化していくと、こういった魂たちは、社会の底辺に留まるのではなく、もっと社会で「成功」し、社会から多くのものを受け取りたい、という欲求とともに第2区分へと進んでくる。底辺での人生を過ごしている間に、彼らは自分たちよりも多くのものを持っている人々がいる、ということを認識したからだ。

 しかし、この認識は多かれ少なかれ、自分たちよりもより多くのもの──社会的地位だったり、社会的自由だったり──を持っている他者との比較から得られたものである。しかしまた、この認識が、もっと多くのものを持ち、社会で成功したい、という根底の欲求に火をつけるのである。

 この欲求を叶えるために、彼らは社会や社会の力の構造がどのように働いているか、ということをもっと知る必要が出てくるだろう。そして、そのために彼らは意識と視野を広げていかなければいけない。そういった意識と視野を広げていくことこそが、この区分の根本的な進化の原動力なのである。

 つまり、この区分の魂たちは、社会構造を利用し、その枠組の中で成功していくことが進化につながるので、その進化に役立つ意識と視野の拡大が必要になってくるのだ。こういった魂たちの価値観、モラル、宗教、判断基準、善悪の区別といった「現実」は、まだ社会のコンセンサス、つまり主流の価値観の延長でしかない。しかし、彼らは成功するために、社会のルールや規制を知り、自分たちの野心がどうすれば達成できるか、ということを知る必要があるのである。

 そうしていくうちに、これらの魂たちはその社会や国の中での「他者」をより知るようになる。この意識の広がりは、徐々に外国や、他の全く違った価値観やモラル、宗教を持つ国と社会にも向けられていくだろう。社会で成功を収めたい、という欲求を原動力に、これらの魂の意識は人や社会、自分と違う「他者」へと広がっていくのである。

 社会的にはミドルクラス的な階層と結び付けられるのが、このコンセンサス段階第2区分である。

コンセンサス段階 第3区分

 魂がコンセンサス段階の中で進化を遂げてくると、社会の上層を構成している人々、つまり、権力を持っているリーダーだったり、物理的な豊かさを謳歌している富豪などの層に加速度的に意識が向いてくる。その意識から成功を収めたいという欲求は更にあおられ、この区分へと突入する。

 このコンセンサス段階の第3区分に進化するにあたり、魂たちは社会全体がどんな構造をしていて、その構造がどのように働いているかということに対して、更に認識を深めることが必要だろう。なぜなら、そういった認識によって、魂たちの「成功したい」という野心が達成できるからである。

 こうして、これらの魂たちは、自分たちが所属する社会や国全体の構造を理解していく。そうすることで、彼らは異なるモラルや価値基準、宗教が存在する他の国や他の文化についても意識を広げていくのである。

 しかし、意識が他国や他文化に向けられるようになるということが、必ずしもこの段階の魂たちにとって、他国や他の価値観、信仰、宗教を自国のそれらと同じように思いやれることにつながるわけではない。

 実際のところ、これら第3区分の人々にも、コンセンサス段階の人々の間に暗黙の了解として存在する「一般的慣習を守るべき意識」は持続され、そこから生まれる「自分たちが正しい、あの人たちが間違っている」という意識も根強く残っているのである。

 よって、コンセンサス段階にある魂たちは、「ナショナリズム」と結び付けられるといってもよいだろう。そしてまた、この第3区分にある魂たちは、社会の頂点にありたいという欲求が強いものである。それは、つまり社会的に重要かつ権威的なポジションだったり、名誉や物理的豊かさの恩恵を受けるような政治家、企業の社長、ビジネス界の重鎮、主流派宗教のリーダーといったような地位に就くことを指す。よって、これらの魂たちは、社会の上層階級を構成していると考えられる。

 そして、魂がコンセンサス段階の最後の区分の中で進化を進めると、コンセンサス段階特有の欲求全てを使い果たす。すると、彼らにとって今まで人生の動機だった欲求が、段々と意味を失っていくのである。その果てで、彼らは自らにある質問を投げかけることになるだろう。「これ以上一体何を人生に求めればいいんだ」と。

 この疑問こそが、コンセンサス段階、つまりコンセンサスの価値観における「『正常な』人生からの疎外感」という覚醒を表すのである。そして、この社会の主流派に定義付けられた「正常」からの覚醒が、魂に新たな欲求を持たせ、個性化段階へと進化を押し進めることになる。その新たな欲求とはつまり、それまでその魂のアイデンティティーや個性というものを外側から条件付けていた、コンセンサスの現実意識からの解放である。

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7)個性化段階

 次の個性化段階は、占星術的には天王星に関連付けられている。自分たちの古巣であるコンセンサス段階から解放される、もしくはコンセンサスに反抗する欲求を持っているからである。これらの魂たちは、コンセンサスの意識による自分たちのアイデンティティーの定義付けを拒み、それらの基準ではない新しい意識で自分自身や物事を知り、理解したい、という欲求を持つようになる。

 先ほど比喩として、科学者が「占星術にはなんの根拠もない」と断言すれば、コンセンサス段階にある人々は、自動的にその意見に同調するだろうと述べたが、個性化段階にある魂に向かって同じことを言ったとすれば、恐らくその反応は「余計なお世話よ、私は自分で判断するんだから」といったものになるだろう。

 この段階の魂たちは、自分たちが社会や出身国の主流と「違う」と感じている傾向にある。また、コンセンサス意識からの解放という欲求から、これらの魂の意識は、より広い全体性の意識、また、全体性から判断する、ということへと広がっていくのだ。

 こういった意識の広がりは、生まれた社会でのコンセンサスの意識で物事を定義付けられなくなることで起きる。その結果、魂はまるで外から社会を眺めているように、段々と所属している社会から分離した感覚を持つようになるだろう。しかしそうすることで、魂は自らを客観視することが可能になるのである。

 この個性化段階にある魂たちは、コンセンサスの人々の信念、価値観、モラル、そして「人生の意味」に反発することで、多くの人々が抱いている現実に対する前提条件にも疑問を持つようになるだろう。その疑問を持つことによって、彼らは人生の意味や人生の性質ということに対して別の見方を探るために、様々な実験をし始めるのである。

 これはこの進化段階の特徴である、「自立的思考」の反映でもある。この自立的思考と、他の国や文化の意見や信念、哲学などの探求によって、人生への理解を深めることで、かつてないほどの意識の拡大と目覚めの感覚が得られるのである。しかし、結果的にこの魂たちは、自分たちが生まれ育った国や社会では、もはやホームグラウンドにいる感覚を持てなくなることだろう。

個性化段階 第1区分

 個性化段階第1区分に属する魂たちは、一般的に社会の主流に属さない感覚や違和感を「普通に見えること」で埋め合わせようとする。よって、そうした魂たちが外側に作る現実は、コンセンサス段階の意識における「普通の仕事」、「普通の友達」、「普通の格好」のようなものが多いだろう。しかし内心彼らは、自分たちがどこか妥協してしがみついている標準的な物差しに、自分たちを当てはめることは、もはやできないと感じているのである。

 彼らがなぜそうやって妥協してしまうのかといえば、それはコンセンサス段階に直前まで存在していたからである。よって、疎外感や違和感というものを感じ始めているものの、コンセンサス、つまり多数派の意識がまだ彼らの安心安全の感覚を構成しているのだろう。

 多くの人々にとって安心の感覚は「恒常性」に置かれている。つまり自己一貫性がある状態で安心感が作られる、ということを覚えておきたい。しかし、この自己一貫性は、過去に基づく機能であるから、彼らの妥協的行動は、湧き上がってくる疎外感や違和感──自分たちはもはや標準的なグループに属していないのだという感覚──に対する彼らの防衛的反応なのである。

 この感覚は、個性化段階第1区分にある魂たちにとっては全く新しいものであり、不安定感をもたらす。経験がないので、過去に基づく安心感がないのである。しかし、この妥協的行動は、彼らが「嘘の自分を生きる」という状況を創り出してしまう。そして、たとえ妥協的な行動をしていたとしても、一挙一動全てに対して心の奥深くで疑問を持っていることだろう。しかし、それはどちらかというと、彼らの精神的、内面的生活で起きているものであり、表沙汰にはならないのである。

 一般的には、これらの魂はコンセンサスの基準での「標準」を逸脱した考え方が含まれている本を多読する傾向がある。彼らが生活している文化圏で許されるならば、そういった標準外のテーマや意図を持った講義やワークショップなどに足を運ぶ人も多いだろう。また、オルタナティブな環境に似たような考えを持つ同志を探しに出掛けていくこともあるかもしれない。

 こうして、魂たちがこの区分での歩みを進めるにつれ、多数派からは距離を取るようになり、自分と似た同志たちと関係を築くようになることで、妥協的な行動は徐々に消えていくだろう。

 仕事に関しては、生活のためにどんな仕事でもとりあえずこなすという魂もいれば、自分の個性化の象徴であるような、独創的な仕事を創り出す魂もいるのがこの区分の特徴である。

個性化段階 第2区分

 個性化段階第2区分においては、天王星のアーキタイプである「反抗者」の気質が極限まで高められる。その反逆精神の高さのあまり、自分たちがそれまでの人生で生きてきたほとんど全ての考え方や哲学をかなぐり捨ててしまうのが、この区分を生きる魂たちの特徴である。

 こういった魂の多くは、「実存的空虚」、つまり人生に対する空虚感に陥り、同じような疎外感を持つ他の魂たちと過ごすことが多い。そうすることで、彼らは自分たちの持つ空虚感以外の全てのものを拒み、彼らが彼ら自身を定義付けているもの以外のことから自分たちを隔離するのである。

 彼らは、どのような形だったとしても社会の一部に巻き込まれることを恐れる。なぜならば、社会の機能に巻き込まれれば、反抗という手段を通じてようやく手に入れた「自分の個性(もしくは自分たちが個性だと思っているもの)」が吸収されてしまうように感じているからである。

 よって、このような魂たちはアバンギャルドといわれるような仲間たちと群れ、社会に向けて批判攻撃を仕掛けることで、社会の主流から自らを隔離することによって築き上げた自分の正しさを強固にしようとするのである。

 しかし、進化の自然法則(つまりそれは、常に退化の後に起きるのだが)によって、こういった人々はやがてこの「社会や現実に飲み込まれそうになる恐れ」というのものが、ただの恐れでしかない、ということに気が付いていく。この気付きが起き、恐れから解放されることによって、彼らは自分たちを再び社会の一部に組み込もうとしていくのである。もちろん、今度は自分たちの個性を失うことなくして。こうして、魂は個性化段階第3区分へと進んでいく。

個性化段階 第3区分

 この区分にある魂たちは、コンセンサスの意識から見ると、真にユニークで、才能ある人々に映るかもしれない。これらの魂たちはコンセンサスの人々の進化を助けるような一種の才能や能力を持ち、それらをコンセンサスの社会に活かすのである。しかし、彼らはコンセンサスの基準や意識で自分たちを定義付けることはせず、むしろ内面ではコンセンサスの立ち位置から明確に自分たちを区別していることだろう。

 それまでの個性化段階の過程を通じて拡大してきた第3区分の魂たちの意識は、信仰、価値観、モラルなどの判断において、世界全体を見渡した上で相対的に捉えることができるようになっている。よって、彼らは出身国の国民であるという意識よりも、「世界人」であるという意識を持っていることだろう。

 自らの存在や創造主について、もしくは自分が何者であるかということについて、自分の内側で沈思黙考することが、本質的にその人の視野と意識の性質を決めるのである。これらの人々はやがて、そういった沈思黙考を通じて、意識を宇宙的なものや神へと広げていくだろう。ここでいう神というのは、コンセンサスの世界であるような宗教を通じた神ではなく、自然界に発見できるような神や女神のような力のことである。

 この区分に入るであろう近代史上の人物としては、アルバート・アインシュタインや、ハワード・ヒューズが挙げられるだろう。

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8)スピリチュアル段階

 スピリチュアル段階は、占星術的には海王星と関連付けられ、ここにおける根本的な欲求は、万物の創造主、つまり宇宙的な意味での神の存在をただ「信じること」から、「意識し、つながる」ということへと進化しているだろう。

 この根源的な欲求があるため、彼らの意識は宇宙的な意識へと段階的に広がり、自らの魂の内側で宇宙全てを意識して生きるような状態になっていく。それはつまり、海の一部としての波、波の一部としての海、という両方の側面を持って生きることである。

 このスピリチュアル段階での進化を通じて、彼らの意識の重心は主観的エゴではなく、魂そのものへと徐々にシフトしていくだろう。一旦この意識の重心が魂そのものへとシフトすると、魂は一つひとつの人生におけるエゴに反映された、その人生特有の個性をその人生設定の中で経験しながらも、魂の中心軸を保ったまま生きることができるようになるのである。それは海が、自分から派生した波を認識している状態に例えられるだろう。

 魂は、かつて生きたそれぞれの人生全ての記憶を持っている。そして、魂自体も、魂のアイデンティティー、つまり魂のエゴともいえる性質を持っている。そのエゴは、地球などの物質界に転生したときにその人生ごとに創り出すエゴとは違うものだ。なぜならば、魂のエゴ、つまり魂のアイデンティティーは永遠のものだからだ。

 その身近な例としては、我々が夢を見たときに起きる現象が挙げられるだろう。夢を見ているとき、我々は普段自分たちを認識しているような主観的なエゴで自分を捉えていないことが多いのではないだろうか。つまり我々はその間、文字通り「休止」し、主観的なエゴは、一時的に溶解して魂に戻っているのだ。

 そこで、「それでは、一体誰が、一体何が、夢を見させているのだろう」という疑問が湧いてくるかもしれない。それは、魂以外の何者でもないだろう。それぞれの個性を持った魂が、魂に自らの存在が永遠であると知らしめているのである。

 また、眠りから目を覚ましたとき、自分──つまり、主観的なエゴ、「私」──が一体誰だったのか、一瞬思い出せないような経験はないだろうか。思い出そうとしなければ自分が何者だったか思い出せないような状態だ。そのような現象が起きたとき、「一体誰がこんな『自分というエゴを思い出させる』という行為をさせているのだろう」という疑問が湧いてくることだろう。

 しかしそれは、やはり魂に他ならないのである。魂がスピリチュアル段階での進化を進めていくに従って、魂の意識の重心は段々シフトしていくのである。このシフトが板についてくると、魂は自らの永遠の存在に加え、進化のために創り出した、現世独自のエゴとそれに付随する個性を同時に体験するようになるのである。

 この状況は、日が水平線に沈んでいく情景にも例えられるかもしれない。太陽が半分は水平線上に、半分は水平線の下に潜っている、そんな情景だ。このような段階の意識では、魂は今まで生きてきた過去世の全てと、今生きている現世と、それらの両方のエゴを認識しているだろう。そうして進化が進んでいくと、やがて魂は万物の創造の源という存在を意識的に理解していくようになるのである。

 これは、魂の意識が真にユニバーサル、つまり宇宙的になることで起きてくる。それはつまり、意識の中で、全宇宙を内面的に経験できるようになる状態である。魂がこの「宇宙的な意識」にあると、創造性が発揮されるときの沸点ともいえる、既に具現化されたものとこれから具現化されるものの境界線にある、創造性の瞬間を経験できるようになる。その経験を通して、魂は創造性の本質を支配している全ての自然法則についても認知していくのである。

 魂が最も進化した状態になっていくと、魂自身が自然界の創造性の法則そのものともいえる状態との一体化を果たし、万物の創造の源とその意思との共同作業によって、この法則を活かせるようになる。それこそが、この自然法則の起源であるといえるだろう。

スピリチュアル段階 第1区分

 スピリチュアル段階第1区分の状態にある魂は、自分の中で累進的に拡大していく意識の範囲に反比例するかのように、自らの存在を極めて小さな存在だと認識し始める。これは、コンセンサス段階で見られるような、「自分の世界の中心は自分」という状態とは大きく異なっている。拡大した意識が、魂と現世でのエゴ、つまり月が象徴する性質に対して、自然と謙虚な姿勢をもたらすからだろう。そして、この謙虚な性質こそが、魂の意識の重心を主観的なエゴから魂自体、そしてやがて創造の源へとシフトさせる力になるのである。

 この流れに従って、魂は段階的に創造の源と再統合したいという欲求にエネルギーを注ぎ始めるだろう。そうして、魂は段々とスピリチュアルで献身的な行動や仕事に従事したいと願い、実際にそうし始めるのである。それは、基本的に大勢の人やコミュニティー全体の役に立つような仕事や、何らかの形で他者に奉仕や貢献をするような類の仕事になるだろう。これらの魂の多くが、多種多様なヒーリングや、ヒーリングを扱う機関などに関わることを望み始めるのである。

 ここで中心となるテーマは、創造の源、つまり創造主のための働きをしたい、という欲求である。なぜなら、そういった仕事の性質上、それらの仕事に従事することによって、自分の内側で創造主の存在を体験することができるからである。東洋では、これは「カルマ・ヨーガ(行動のヨガ)」と呼ばれる。

 このスピリチュアル段階第1区分では、自分を内面的に向上させるのに何が必要かを次第に認識し始める。この意識の高まりが、魂に「自己の不完全さ」を認識させるため、魂は極めて自己批判的になるだろう。これは、もちろんこの区分にとっては自然なことであるが、これにより魂が自身のことを「十分でない」、「完璧でない」、もしくは「まだ準備ができていない」と感じて内向き志向になってしまう危険性もはらんでいる。それはまた、自分がやるべきことをやるべきときに着手しないことへの言い訳に利用されてしまう。この罠から抜け出すには、完璧さは一歩一歩踏み出すことによって達成される、ということに気付くよりほかない。

 第1区分での進化が進むにつれ、元々の意識に備わっている、前述の「一つの目」、つまり「第三の目」への知覚が発達してくるだろう。その結果、この発達した知覚が魂に第三の目との融合を起こさせ、多種多様な宇宙的意識をこういった魂にもたらすのである。そして、その過程が、やがて魂をスピリチュアル段階第2区分へと導いていく。

スピリチュアル段階 第2区分

 魂がこのスピリチュアル段階第2区分までやってくると、その意識の中では様々な宇宙的意識や経験を積んでいることとなる。しかしながら、まだ主観的エゴから魂へと意識の重心が移りきっていないため、この区分はその移行が起きるための最終段階とも呼べるだろう。

 この段階で起きようとしている重心のシフトは、ゴムバンドに例えられる。つまり、重心が主観的エゴと魂の間を行ったり来たりしてしまうのだ。その状態にある魂は、自分の内側で加速度的に宇宙的意識や創造の源の体験をしていくのだが、一方でそれによって主観的エゴに火がつき、自身の進化状態を過大評価してしまうという問題が起きやすい。

 するとこれは、いわゆる「スピリチュアル誇大妄想」という現象を引き起こしやすくする。その現象が起きると、魂は自身に他者のため、もしくは世界のために果たすべきスピリチュアルな使命があると感じるだろう。

 この区分の魂をより理解するには、魂が創造の源、つまり「光」にかつてないほど近付いていく中、更なる進化を進めるためには、残存しているエゴ中心的な不純要素が浄化されなければいけない、ということを覚えておく必要がある。そのため、魂が自身の起源に再統合を果たそうとするとき、これらの不純要素は、浄化されるために現世での主観的エゴ──もちろん、それも魂のエゴの中に存在しているものだが──を通じて現れるのである。

 これらの不純要素の性質は、その魂の個性によって様々だろうが、共通しているものがある。それは、魂のエゴが、今なお自分は創造の源から分離した存在だと認識しているということである。そして、この幻想は、魂が創り出す現世での主観的エゴに反映される。

 この共通した要素は、独特な心理的行動に集約されるだろう。彼らはそんな素振りを見せずして、自分たちが「救世主的な役割を持った人間」であったり、「神/女神を知るための架け橋的存在」であると人の注目を集めるのである。つまり、彼らはいうなれば極めて優れた商売人であり、神や女神といった存在を目玉に商いをして自分が崇拝されることで、神の存在をさらに知っていくのである。

 このように、これらの魂たちが、スピリチュアル、もしくは宗教的な教育を行っているとき、背後には別の意図が隠されていることが多い。近代史上でこういった活動をした人物の例としては、バグワン・ラジニーシ(Osho)(注釈1)、エリザベス・プロフェット(注釈2)、ジュディス・ゼブラ・ナイト(ラムサ)(注釈3)、アディー・ダ(注釈4)、ラスプーチン(注釈5)などが挙げられる。

 これらの魂がこのスピリチュアル段階第2区分で進化していくにつれ、この根幹部分にある不純な動機や性質を自覚していく。結果、彼らは自然と罪悪感にかられ始めるだろう。この罪悪感によって、これらの魂は自ら罪滅ぼしをすることを選び、失墜や破綻といったものを引き起こすものである。この失墜や破綻の形は、それぞれの魂が創り出した人生環境によって様々であるが、そういった失墜を通じてこの区分における最後の進化が成し遂げられ、いよいよ魂は最終区分へと進んでいくのである。

スピリチュアル段階 第3区分

 このスピリチュアル段階最終区分まで魂がやってくると、魂はようやく自らの創造の源、創造主の力による自己の定義付けを確固なものとする。意識の重心も主観的エゴに置かれるのではなく、ついに魂に置かれるようになる。この時点で残っている進化の課題は、残存している全ての分離的欲求を手放していくことにある。

 意識の重心が魂へと最終的移行を果たす中、魂はこの創造の源の力と同調し、自らを創造の源の具現化の一部だと認識するのである。よって、この魂の人生に対する意識や理解、内外でのリアクション、現世の目的の理解、人生においてどのように決断を下すか、といったもの全ては、この創造の源との調和に基いて行われるのである。

 この最終区分における進化が始まるに従い、魂は今ここに創造の源に対して自分が還元すべきものがある、と感じ始める。こういった魂は、もはや自分自身のためだけに人生を生きることはできないと感じており、創造の源の一部として自分がやらなければいけない仕事があるということを知っているのである。このような魂の意識は、隠れた動機や意図なしに、純粋に他者に貢献するような構造になっている。そして、彼らの仕事には、教える、もしくは癒やす、といったテーマが必ず何らかの形で含まれているのである。

 この状態にある魂たちは、創造の源と意識的につながって同調しているため、彼らの持つ周波数は輝きに満ち、大勢の人々がその磁力によって惹きつけられるだろう。その人々が惹きつけられる輝きには、この区分にある魂たちが人生の根本的な叡智を照らし、また「人間という状態」に対する深い慈愛に満ちていることが反映されているのである。それは、彼らがこの状態に進化するまでに、長い進化の旅路を辿ってきており、その旅路で想像しうる全ての人生経験を積んできているから生まれるのだろう。こういった人々は、大変素朴で謙虚であり、自らのエゴを満たすための欲求のようなものは、もう既に消え果ててしまっている。例えば、もし周囲が彼らの功績を讃えようとしても、そういった称賛を辞退し、それらは全て、神もしくは創造の源の力によって成し遂げられたものだと周囲に言い聞かせることだろう。魂の還るべき場所は創造の源であって、決して自分たちではない、と示すのである。

 反対に、これらの魂たちが、人々から「一体本当は何者なのだろうか」といった疑問や正体を暴きたいという欲求を抱かれ、様々な批判や大規模な迫害を引き寄せてしまうこともある。

 これは、この最終進化状態にある魂たちが、根本的にとても純粋で、創造の源からの光に満ちているからこそ起きる現象である。なぜならば、そういった内側の光は、他者が外向けの顔の下に隠している、心理的不純物や現実を露呈させてしまい、彼らの本当の動機や隠された意図といったものを明るみに出してしまうからである。

 そのような批判や迫害行動を向けるような人々は、自分たちが根本的に不誠実で、他者に本当の動機や意図を隠し、他者が「信じるべき人物」を演じているがため、真の純粋な動機から他者のために生きている状態の魂たちに脅威を感じるのである。そういった恐れの感情が、批判や迫害といった行動を起こさせるのだ。

 この第3区分の始まりでは、こういった魂は、自分の身の回りの世界やコミュニティーなど、比較的限られた人数の人たちを何らかの形で教育したり、癒やしたりするだろう。しかし、進化が進んでいくにつれ、こういった魂が教えたり癒やしたりする仕事、つまり創造の源のチャンネルとして行う仕事で関わる人々の輪は次第に大きくなっていく。

 そうしてやがて、彼らが影響を与える人々の輪は全世界へと広がっていく。この進化段階の最終局面に到達した魂は、その人生と教えによって、肉体を離れた後も長きに渡って、人々にその存在を覚えられることになるだろう。こういった魂であった「個人」には、イエス・キリスト、ヨガナンダ、老子、釈迦、ムハンマド、マザー・テレサなどがいる。

 もう一度念を押すが、地球上に生きている全ての人々が、この自然の法則における四つの進化段階のどこかに存在している。進化占星術を用いたい全ての占星家は、出生図を見る相手を十分に観察して、進化段階を把握し、そしてその考察を出生図に結びつけることが基本となる。出生図を読み解くのに、画一的な方程式など存在しないのである。

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